岩国市が「PFAS」を独自調査 岩国基地周辺の水域で検出
岩国基地周辺の水域で有害性が指摘される「PFAS」が検出された問題で、新たな動きがありました。 【動画】PFAS 岩国基地周辺の水質問題 そもそもPFASとは、人工的に作られた有機フッ素化合物の一種で、撥水剤、界面活性剤など幅広い用途で使われてきました。一方で「難分解性」、つまり分解されにくい性質を持ち、さらにヒトの体内に入ると発がん性などの健康被害をもたらすとされています。しかし、どの程度の量が入ると健康に影響が出るのかについては十分な知見がなく、国は現在、水1リットルあたり該当物質50ナノグラムという暫定目標値を定めています。 PFASはアメリカ軍がかつて使用していた泡消火剤などにも含まれています。国際民間団体や岩国市の市民団体がことし、岩国基地周辺の水域で水質検査を実施したところ、89.3ナノグラム、175.6ナノグラムと、いずれも国の暫定目標値「50」を上回りました。 岩国基地ではすでにPFASの一部を含む泡消火剤は撤去されていますが、市民団体側は「PFASは永遠の化学物質とも言われ、現在も環境を汚染している」と指摘しています。国内のアメリカ軍関連施設では沖縄・普天間基地や東京・横田基地周辺、さらにアメリカ軍の弾薬庫がある広島県東広島市でもPFASが環境問題となっています。 こうした中、岩国市は4日、市独自のPFAS調査に乗り出し、基地周辺で水を採取しました。民間の業者に分析を依頼し、年内には結果が判明する見通しです。 4日朝、岩国市の職員4人が岩国基地沿いの今津川で漁船に乗り込み、調査地点に向かいました。市が今回調査するのは、基地に近い4地点で、市民団体の調査で暫定目標値を上回った遊水池から最も近い漁場も含みます。このうち2地点は過去に国や県が調査し、いずれもPFASの該当物質が国の暫定目標値を下回っています。 民間の調査結果がことし明らかになって以降、市は国や県に対し再度の調査を依頼していましたが、速やかに実施される見通しが立たないことから、独自の調査に踏み切った形です。 (岩国市環境政策課・藤井哲夫課長) 「国・県に要望した結果、来年度以降(検討)という回答だったので、市民の不安を払拭するためになるべく早い段階で結果を把握したいということで今回調査した」 採取した水は民間の専門業者に分析を依頼し、3週間程度で結果が判明する見通しです。