なぜ人はいじめをするのか? 研究で判明した「加害者の理不尽な心理」
アメリカのトップ大学の一つであるシカゴ大学の研究者たちが、いじめを目撃したときの脳の活動状態を見る実験をおこないました。その結果、人はいじめを目撃すると、喜びに関係する脳の部位と、苦痛に関係する脳の部位が活動するそうです。 そして、いじめっ子の脳では、苦痛に関係する部位が活動しておらず、逆に喜びに関係する脳の部位が、より活発に反応していることが明らかになりました。つまり、いじめっ子は、いじめに喜びを感じているというのです。 こういう人たちは、自分の喜びのためにいじめているわけですから、相手側に悪いところがあろうがなかろうが関係ないのです。 たとえば、Aさんは、がんばって成績が学年トップになったとします。どう考えてもすばらしいことです。しかし、それをねたんだBさんが中心になって、Aさんにいやがらせをするようになる......などということが起こるわけです。 いじめは、いじめられる側にとって「理不尽」というべき理由で起こってしまうことが少なくありません。 理不尽というのは、常識や理屈から考えたらおかしい理由、納得がいかない理由にもとづくことです。先ほどの例もそうです。いじめられる側が何も悪いことをしていなくても、いじめられるということが起こってしまいます。 いじめの対象となってしまった人には、「自分が悪い」と自分をせめてしまう人も少なからずいます。しかし、どんな理由があろうと、他人に危害を加える行動をしたいじめる側が悪いのです。 ですから、たとえいじめの対象となっても、自分をせめないでください。親や先生、まわりの友だちにも相談して早めに解決しましょう。今は学校以外でも、相談に乗ってくれるところがたくさんあります。身近に相談できる人がいなくても、インターネットなどでそういうところをさがしてみるのも手です。
「オンラインいじめ」には専門家の手を借りよう
文部科学省の調査によると、じつはいじめが実際に報告された件数は少なくなってきています。 しかし、オンラインによるいじめの件数は、逆にふえていることがわかりました。理由としては、SNS交流サイトの匿名アカウントなどを使ったネット上のいじめは、親や先生の目がとどきにくいからです。 また、時間や場所を選ばずに、指先一本でできてしまうという簡単さや気軽さもあります。そのため「オンラインいじめ」がふえてしまっているようです。匿名の廃止、つまりだれがやったかがわかるようになるだけでも、少しはオンラインいじめの発生をへらすことができるかもしれません。 しかし、だれが投稿をしたかを特定させるのは、じつはとてもむずかしいことです。警察も、専門の部署を作って対処しようとしていますが、それでも完全にはできていません。 法律の専門家も、裁判などで発信者の特定をしなければいけないことが多々ありますが、彼らが情報分析のプロを使っても、なかなかうまくいかなかったりします。 こういった捜査・調査の専門家たちでさえもむずかしいのですから、素人である教育現場の先生方やご両親、みなさんがそれをやろうとしても、現実的にはかなりむずかしいでしょう。 また、だれかに何かの行動をやらせる、あるいはやめさせるということも、想像以上にむずかしいものです。とくに、人数がふえてくると余計むずかしくなります。