「私はこんなふうに生きていきたい」…”介護の計画書”『ケアプラン』に書いてあること
2015年に厚生労働省が出した統計によれば、日本人が亡くなった場所は病院、自宅の次に、「介護施設」が多くなっている。治療に特化した病院でもなく、住み慣れた自宅でもない「介護施設」で亡くなるとはどういうことなのか。 【漫画】くも膜下出血で倒れた夫を介護しながら高齢義母と同居する50代女性のリアル 介護アドバイザーとして活躍し、介護施設で看・介護部長も務めた筆者が、終末期の入居者や家族の実例を交えながら介護施設の舞台裏を語る『生活支援の場のターミナルケア 介護施設で死ぬということ』(髙口光子著)より、介護施設の実態に迫っていこう。 『生活支援の場のターミナルケア 介護施設で死ぬということ』連載第33回 『今の「豊かな日本」があるのは『高齢者世代』の皆様のおかげ!…「いつまで生きるんだろう」介護の不安な気持ちを前向きに!』より続く
介護は本人・家族の意向が重視される
医療保険で医療サービス(治療)を受けるとき、どのような内容のサービスを受けるのかは、医師の作成する「処方箋」で決まります。 介護保険において、この処方箋に相当するのがケアプランです。つまり、介護保険で介護サービスを受けるとき、それがどのような内容のサービスかを決めるのが、ケアマネジャー(介護支援専門員)の作成する「ケアプラン」なのです。介護の現場で働く私たちは、このケアプランに基づいて介護サービスを提供しています。 処方箋が医師の意向に基づいて作成されるのに対して、ケアプランは、利用者本人・家族の意向に基づいて作成されます。たとえ高齢で体が不自由であったとしても、「私はこんなふうに生きていきたい」という本人・家族の思いと、それはどうしたら実現できるのかという具体的な方向性を示しています。
「ありのままの言葉」が重要
ケアプランの書面の第1表には、「本人・家族の意向」が記されます。ケアマネジャーは、まず、本人・家族の言うに言えない気持ちを引き出し、本人の意向に基づく「これから私が望む生活」を文章にします。 その際、本人の現在の状態と今後の見通しを、介護の現場から正確に伝えることで、後述する鈴木さんの息子さんの「親父は何事もひとりで決めて生きてきたから、最期もひとりの力で生き抜かせてやりたい」という言葉のように、「これぞ第1表にふさわしい!」と思える発言が飛び出すこともあります。その場合は、その言葉をそのまま記録すればいいのです。 『「優秀なケアマネージャー」は“ココ”が違う!「快適な介護生活」を送るために『ケアプラン』で見るべき場所とは』へ続く
髙口 光子(理学療法士・介護支援専門員・介護福祉士・現:介護アドバイザー/「元気がでる介護研究所」代表)
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