【横浜家系ラーメン&モツ煮定食】王道絶品家系ラーメンと衝撃のモツ煮をダブルで堪能:パリッコ『今週のハマりメシ』第167回
缶ビールにキンキンに冷えたグラスがついてくる、とても好ましいスタイル。このグラスを持ち上げた瞬間、思わずほほえんでしまった。というのも、絶対にガラス製だと思っていたそれが、なんとプラスチック製だったから。酒場歴もずいぶん長くなるけど、プラのコップを冷やして出している店には初めて出会ったかもしれない。 実際にビールを注いで飲んでみると、当然ながらガラスほどの冷たさはない。すぐ常温に戻る。しかし、それでも冷やしてくれる。その心意気が嬉しいし、届いた瞬間の視覚効果はきちんとあったのも事実。そして、こういう小さなポイントこそ、僕がそのお店を大好きになってしまう理由だったりするのだ。すでに忘れられない店になってしまったぞ、オダサガの町田家。 続いて、19時まで無料、かつおかわり自由だというライスを、カウンターによそいにいく。僕は家系ラーメンに詳しいわけではないけれど、濃い味のラーメンやスープ、チャーシューなどをおかずにごはんを食べるのが定番だとは聞いたことがあり、ぜひともやってみたい。 続いて、まずはもつ煮込みがやってきた。大ぶりのおわんにたっぷり。もうこの時点で、完全に昼食として成り立ってしまっているボリュームだ。箸で確認してみると、こんにゃくやねぎなどとともに、豚もつがごろごろと入っている。 さて、家系ラーメン屋さんのもつ煮込みはどんな味? と、まずはつゆをひとすすり。すると、これがかなり衝撃的。まず、みそ仕立てのとろとろ濃厚スープに、豚もつを長時間煮込んだからであろう旨味が飽和している。しかもそれだけではなく、そこに魚介系(魚粉?)と思われる香りと風味が、ものすっごく効かせてある。言ってみれば、豚と魚介のダブルスープだ。それがふわふわのもつや野菜に絡み、唯一無二の美味を生み出している。 こんなもつ煮込みは初めて食べた。そして、なぜこの味が他にないんだ? ってくらいうまい。きっと、ラーメン作りの方法論があったからこそ生まれた一品なのだろう。いや、違ったら面目ないけど、そんな想像も楽しいモツ煮。年始から嬉しすぎる出会いだ。 当然、ビールにもごはんにも合いすぎる。ラーメンが届く前に、思わず1杯目のごはんを食べきりそうになってしまい、胃の容量を考えてセーブしつつ。 そしてラーメンが到着。うんうん、そうそう、この感じ。僕のイメージする家系ラーメンそのものだ。 ちなみに、料理が届くまでの間、せっかくなので家系ラーメンについてをスマホで調べておいてみた。 家系ラーメンの源流は、1974年に創業した「吉村家」。特徴は濃厚なとんこつ醤油スープと太めの中華麺。基本のトッピングは、チャーシュー、ほうれん草、海苔。多くの店では、麺の硬さ、味の濃さ、油の量を好みに応じて調整してもらうことができる。 その他にない美味しさから、吉村家からのれん分けや派生が広がっていき、本家をリスペクトして、名前に「〇〇家」とつける店が多かったことで、"家系"と呼ばれるようになった。 現在は吉村家とは関係なく"家系スタイル"のラーメンを提供する店やチェーン店も多く、僕がさっき関連があると勘違いしたのは、近年店舗が増えまくっているチェーンの「町田商店」という店で、ここ町田家とはまったく無関係のようだ(すみません)。 ちなみに町田家は、平成8年開業。町田、新百合ヶ丘、新宿南口、小田急相模原の4店舗で営業する小規模チェーン。店内にあった麺の木箱に「酒井製麺」とあり、これは基本的に吉村家の派生店にのみ卸されている麺だそうで、つまり正当な流れをくむ店であると思われる。 以上、にわか知識でした。そんなことより、ラーメンラーメン!
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