10年見て分かった「渋谷ハロウィン」はもう止められない “来ないで”の呼びかけ虚しく…どう折り合いをつけるべきか
31日の夜に渋谷を訪れると…
では、実際の様子はどうだったのか。10月31日に今年も渋谷を視察してきた。 当日は駅を出てからの導線が厳しく規制されていて、JR渋谷駅のハチ公改札から外へ出ることはできないようになっており、またハチ公のあたりからセンター街へ向かうには、高架をくぐって宮益坂の方へ大回りさせられる流れができていた。
そのセンター街も、入り口付近では道の中央に柵が設置され、一方向へと進むよう求められた。脇道もところどころ警官によって封鎖。「立ちどまらないでください」の声が定期的に上がる。人流をきちんと管理しようという意図は一昨年ごろからあったが、今年は誘導する側もされる側も〝慣れて〟きたように思えた。 街を訪れた18時頃は、人の流れ自体がそもそも例年に比べて少なく、仮装姿を見かける機会もあまりなかった。ハロウィン目当てでやって来たであろう外国人観光客の表情も、どこから物足りなさそうである。規制が功を奏し、渋谷のハロウィンも終わりになるのだろうか……との考えが頭をよぎった。
ところがそれは杞憂だった。21時頃になるとどこかから人が現れ始め、同じようにコスプレする人たちを見かけるようになった。以前の「ジョーカー」や「アーニャ」など、今年のトレンド的な仮装にかんしては、今年は気づかなかった。強いて言えば「ウルヴァリン」のコスプレをした外国人男性がそこそこいただろうか。
一部では「仮装姿がまばら」「人が少ない」とも報じられていたが、おそらくそれは夜の早い段階で取材したためではないかと思う。例年よりスロースタートではあったが、盛り上がりとしては例年どおりだったという印象を受けた。
センター街の中は規制が厳しく、立ち止まって写真を撮ろうという人は、すぐに警察官やセキュリティから動くよう促される。居心地がよくないためか、駅を挟んで反対側の宮益坂付近およびミヤシタパーク周辺が、立ち止まって写真撮影する人びとであふれるちょっとしたスポットになっていた。人の流れを大きく誘導したことで、今年は渋谷の街全体が会場になっていた、ともいえる。 池袋、そして新宿も同様に見てきたが、渋谷ほどの盛り上がりはなかった。ハロウィンに関しては渋谷に圧倒的なブランドがあると感じさせられた。もう、地元が願うような形での渋谷ハロウィンの〝終焉〟は訪れないのではないか。 幸い、今年は大きな混乱はなく、条例の甲斐もあってか路上飲酒も見かけず、ゴミの散乱も全く無かった。スムーズに人波は流れていたように思う。これを「止める」ことはもはや現実的ではない。うまく付き合っていく方法を模索したほうがよさそうだ。