非正規なので退職金がありません。正社員になると退職金はどれくらいもらえるのでしょうか?
日本では、長年勤務した際に退職金が支給される「退職金制度」が定着していますが、非正規社員には退職金がないと考えている人も多いでしょう。しかし、退職金制度はそれぞれの企業で内容が違っているので、正社員だけがもらえる制度とはかぎりません。 本記事では退職金とは何か、どれくらい退職金がもらえるのかを解説します。興味のある人は参考にしてください。
退職金とは
退職金制度は、法律によって義務付けられているわけではありません。そのため、退職金をどうやっていくら支払うのか、または支払わないのかは各企業によって違いがあります。しかし、一般的には一定以上勤務した社員が退職する際に、会社がお金を支給する退職金制度が普及しています。 厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職金制度がある企業は74.9%です。そのため、ほとんどの企業には退職金制度があるといっても差し支えありませんが、退職金がもらえるかどうかは、必ず社内規定で確認しましょう。 ◆退職金は非正規でももらえる可能性があるが、正社員でももらえない可能性もある 上述のとおり、日本の企業の80%以上では退職金制度を採用していますが、反対に20%近くの企業には退職金制度がないことになります。退職金制度がない企業であれば、たとえ正社員であっても退職金をもらうことはできません。 その一方で、正社員よりは金額は少なくなるかもしれませんが、非正規社員でも退職金をもらえる企業もあります。2020年のメトロコマース事件で、最高裁が「職務内容が違う非正規社員に対して退職金を支払わなくても待遇格差とはいえない」と判決を下したことが話題になりました。 しかし、この判決が正社員と非正規社員の待遇格差を見直すきっかけになったことも事実です。非正規社員でも退職金が支払われる可能性はあるので、勤務先の社内規定で確認をしておきましょう。 ◆退職金の種類 退職金には、主に以下の種類があるので参考にしてください。 ・退職一時金制度:最も一般的な退職金制度で、自社の内部留保から退職時に一括で支給する制度 ・確定給付企業年金(DB):企業が外部の金融機関に掛金を運用させ、退職時に一時金や分割で社員に給付する制度 ・企業型確定拠出年金制度(企業型DC):企業が掛金を負担し、社員が掛金の運用を行い退職金とする制度 ・中小企業退職金共済(中退共):自社で退職金制度がない中小企業のための共済による退職金制度