「日本版ライドシェア」雨天時に拡充 運行車両2倍、運行時間も拡大
国土交通省は28日、一般ドライバーが自家用車を用いて有償で乗客を運ぶ「日本版ライドシェア」の制度を7月1日に拡充すると発表した。東京23区など12地域で、雨天時に運行可能な車両の数を2倍に引き上げたり、運行できる時間帯を広げたりできるようにしたりする。現行制度は制約が多すぎて移動の手段不足の解決には不十分との指摘があることから、使い勝手の良い制度に柔軟な見直しを進める。 【表で見る】主な国・地域のライドシェアの運行管理や責任の主体 4月に始まった日本版ライドシェアは、タクシー会社が運行を管理し、地域ごとにタクシーが不足している曜日や時間帯に限って運行する仕組み。 7月からの制度拡充は現在運行されている15地域のうち、東京23区や京都市、大阪市など12地域を対象に、1時間に5ミリ以上の降水量が予報される時間帯やその前後1時間に運行可能な車両数を増やしたり、運行不可だった時間帯でも運行できるようにしたりする。 雨天時には配車依頼が増え、客からの依頼にどれだけ応じられたかを示す「マッチング率」が下がる傾向にあった。斉藤鉄夫国土交通相は28日の閣議後会見で「日本版ライドシェアをバージョンアップし、雨天時の移動の足不足の解消を目指す」と強調した。 今後は、移動需要が高まる大規模なイベント開催時の運行車両数の拡大などの対応も検討する。ライドシェアを巡り、政府はアプリ事業者などタクシー事業者以外の参入を認める全面解禁については先送りした。国交省は全面解禁には慎重な姿勢で、現在の枠内で利便性を向上させるための取り組みを進めていく方針。