<なでしこジャパン>W杯連覇への第一歩 澤穂希の思いとは
今回、代表チームが活動できる期間は実質9日間。短期間で主力と新戦力が融合し、コンビネーションを高めることは容易ではない。それでも「代表に選ばれるぐらいの選手達は各クラブでも、しっかりコミュニケーションを取って、連係プレーが出来ている選手だと思うので、あとはプレーしながら合わせていきたい。自分がこう思っている、とか、こうしてほしい、とかがあれば積極的に聞いて、どんどん要求してほしいですね。練習から試合にかけて、お互いに遠慮なくコミュニケーションを取ることが必要なんじゃないかなと思います」(澤)。これまでにも多くの変化を経験している澤にとって、新しい風をもたらす新戦力との融合を楽しみにしている。 ■日本に立ちはだかるアジアの壁 アジアとの戦いは、決して楽ではない。佐々木監督は「日本を一番熟知しているのはアジアの近隣の国。日本に勝とうという意欲やメンタル面の強さがある」と分析する。また、ピッチなどのコンディションも逆境となる。開催地ベトナムの5月は真夏の東京並みの暑さと湿度で、突然のスコールも少なくない。さらに芝生は太くて硬く、雨が降る割に水はけも悪い。日程もグループリーグは中1日で3試合を行い、決勝まで含めると11日間で5試合を戦う。それでも澤は「以前、中国の大会では、練習場がゴルフ場だったとか(笑)、暖かい国に行くと急にスコールが降ったり、予想外のことも多いです。日本のように恵まれた環境は、なかなかないので、その国に対応できるように努力しています」と涼しい表情。与えられた環境で全力を尽くす。 ■再び世界の頂点に立つために 来年6月に開幕する女子W杯では、もちろん『連覇』を狙うことになる。しかし、まだまだ準備が必要だと、澤は話す。「前回のW杯が終わって以降、(五輪でも)銀メダルを取ることができましたけど、その後は思ったような成績が残せていません。来年のW杯まで時間は短いですけど、ひとりひとりがレベルアップしなければいけないし、チームとしての底上げも絶対に必要だと思います」。 ”ポスト澤”と形容されてきた選手はこれまでにもいたが、結果を残し、周りをプレーで納得させることができた選手は、まだ現れていない。その事実は「代表のピッチで結果を残す」ことの難しさを物語っている。それでも澤自身、自らのポジションを脅かすような存在の出現を待ち望み、そういった新戦力による底上げを期待している。