【企業アンケート】株価上昇、日本経済が「良くなる」きっかけ5割
日経平均株価、「史上最高値」更新に関する企業アンケート
2月22日に日経平均株価が、バブル期に付けた史上最高値の3万8,915円87銭(1989年12月29日終値)を更新、さらに3月4日には4万円を超えた。 帝国データバンクが発表した「TDB景気動向調査(2024年2月)」では、証券・商品先物取引業の直近の景気DIは65.3と高水準で推移し、企業からは日経平均株価の上昇を景気の押し上げ要因として捉える声も複数あがっている。 また株価上昇が及ぼすプラスの影響として、資産効果のほか、中長期的には公的年金の制度維持、企業年金や退職金の運用利回りの改善なども期待される。 そこで帝国データバンクは、株価上昇が及ぼす影響について企業へアンケートを行った。
株価の大幅上昇、停滞が続く日本経済に対するマインド『良くなる』が48.2%
日経平均株価が、34年ぶりに史上最高値を更新した。株価の上昇が長らく停滞していた日本経済に対する企業や消費者のマインドが変わる(良くなる)、一つのきっかけになるかについて、『変わる(良くなる)』と考える企業は48.2%で半数となった。 他方、『変わらない』は44.4%となった。日本経済へのマインドが変わると考える企業と、変わらないと考える企業はいずれも4割台でわかれた。 企業からは、「有価証券保有の有無にかかわらず、社会全体の雰囲気が、今までの停滞ムードから少しは良い方向に向かう」(メンテナンス・警備・検査)など、株価上昇が世間の心理面や雰囲気にプラスに働くとの声があがった。 一方で、「企業や個人が保有する株式資産はごくわずか。実体経済と乖離している株高だと思っているので、今のところは期待していない」(鉄鋼・非鉄・鉱業)といった声も寄せられた。
株価上昇で「恩恵あり」は42.8%、「消費マインド向上」がトップ
昨今の株価の上昇による恩恵(直接・間接問わず、見込み含む)について、「恩恵あり」とした企業は42.8%と4割を超えた。 具体的な恩恵としては、「社会全体の消費マインドの向上」(50.1%)が最も高くなった(複数回答、以下同)。次いで、直接的な恩恵である「自社で保有する有価証券などの資産価値の上昇」が46.4%、「個人の購買意欲の向上」が32.9%で続いた。 他方、「現時点では恩恵を感じていない」企業は52.8%で、半数超の企業が現時点で見込みも含めて恩恵を実感できていない。 企業からは、「固定された給料は生活のために使い道がほぼ決まっている。投資での利益は少しの贅沢に使うマインドが起こる」(飲食店)と、直接的な効果から間接的な影響へ徐々に広がるとの声が聞かれた。 他方、恩恵を感じない企業からは「ごく一部の投資家や大企業はともかく、一般消費者の実質賃金は下がり続けているため、恩恵を感じることはできない」(不動産)と、株価上昇による恩恵は限定的とみている。