『仮面ライダーガヴ』アクション監督・藤田 慧「『仮面ライダー』シリーズが50年以上守り続けてきたスーツアクターのいる現場を大切にしたいんです」
――監督自身、アクションシーンを演出する上で最も大事にしているのは? 藤田 「まねしたい」「再現したい」と思わせることですね。例えば変身ポーズでいえば「子供が15分考えてギリできないレベル」のものを考えています。今回は右手でベルトのレバーを回しながら、左手を体の前方で大きく回す。最後のキメだけはわかりやすくしたけど、パッとはできないと思う。でもそれくらいがちょうどいい気がします。 ――「15分で」というのは絶妙な気がします。一方「再現したい」とは? 藤田 わかりやすく言えば『機動戦士ガンダム』第1話のザクを刺すシーンのジオラマがあるじゃないですか。僕の演出したアクションシーンもあんなふうにしてもらえれば。自ら形に残したい、再現したいと心を突き動かすのがいいシーンの証し。 そのためにワンシーンに印象的なしぐさなり、必殺技の決めポーズなり、あるいはシチュエーションなど取り入れるよう意識しています。それこそ文字エフェクトなんてジオラマに向いていると思いますけどね(笑)。 ――最後に今後のアクションの見どころは? 藤田 新しいアイテムや必殺技が登場するのはもちろん、あとはやはり主人公ショウマ役の知念英和くんらがどう成長していくかでしょうか。何より素直で、運動神経も高いから期待がかかります。アクションは仮面ライダー作品の中で最も生身で自由度の高い部分。1年を通し、進化し続けるところを毎週楽しんでもらえたらうれしいですね。 ●藤田 慧(ふじた・さとし)1987年生まれ、大阪府出身。2009年『仮面ライダーW』でスーツアクターとして活動開始。以降『仮面ライダーシリーズ』や『スーパー戦隊シリーズ』に多数出演。2022年『仮面ライダーギーツ』でアクション監督を務める。ジャパンアクションエンタープライズ所属 ■『仮面ライダーガヴ』異世界からやって来た青年・ショウマが、人間界で少年と出会ったことをきっかけに仮面ライダーガヴに変身する力を得て、人間たちを襲う知的生命体・グラニュートとの戦いを繰り広げる。毎週日曜午前9時からテレビ朝日系列で放映中 取材・文/大野智己 撮影/荻原大志 ©2024 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映