嫌われるのが怖い人ほど、幼少期に経験している「見捨てられる不安」
急に不機嫌になる人
不安定性愛着を分かりやすい日常の言葉でいえば、大人の場合それは「気難しさ」である。「あの人は気難しい」と表現された時、それはその人が不安定性愛着の大人であることを意味する。 自分の言うことに「こう応えてくれるだろう」と期待している。露骨ではなくうまく自慢話をしたとする。そして「すごいわねー」と応じてくれると期待した。しかし、あまり感心されなかった。それで傷ついた途端に不機嫌になる。 ある人の悪口を言ったとする。聞いている人が「へー、そんなにひどい人なの、知らなかったー」と驚いてくれると期待した。「それにあなたは我慢していたの、つらかったでしょう」と話は進むと思っていた。 ところが相手の応答はあっさりしたものだった。「そー」で終わってしまった。今までご機嫌で話していたのに、相手の応答で途端に不機嫌になる。相手の応答の仕方が愛情欲求を満たさないので、急に面白くなくなる。相手は自分の応答の仕方が、そんなに話し手に影響力があるとは夢にも思っていない。そこで突然の不機嫌に驚く。そして、「あの人は気難しくて」と嘆くことになる。
加藤諦三(早稲田大学名誉教授、ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)