熊本県産畜産物、熊本空港から初輸出 杉本本店が黒毛和牛「黒樺牛」を台湾へ 円滑な検疫体制整う
国際便の新規就航が相次ぐ熊本空港(益城町)を使った畜産物の輸出が17日、始まった。肉や畜産加工品の検疫を円滑に実施できる体制が整った。熊本県産の畜産物の輸出はこれまで他の空港を使った空路や、海路に頼っており、熊本空港の利用で輸送コストを抑制できれば輸出活性化につながりそうだ。 熊本の経済ニュース
県や農林水産省によると、熊本空港の貨物ビル内に7月、肉などを輸出する際の検査をする動物検疫の指定検査場所が新設された。検査自体は以前から可能だったが、ビルの外だったため搬出入の作業が困難で利用する業者がいなかった。ビル内に設けたことで保冷車で検査場近くまで運ぶことが可能になった。 輸出第1便では食肉生産販売の杉本本店(宇城市)が、台湾への定期旅客便に載せて自社ブランドの県産黒毛和牛「黒樺牛[くろはなぎゅう]」を出荷した。2頭分のロースやヒレ約100キロを自社の保冷車で検査場所に搬入。農水省の職員が包装状態や肉の種類などを目視で確認した後、台湾に運ばれた。代理店を通じて来年1月中旬以降に現地の店に並ぶ。 杉本本店は台湾も含め、タイやマカオ、アラブ首長国連邦(UAE)など7カ国・地域に牛肉を輸出している。主に福岡の空港や港から輸出してきたが、熊本から空輸できれば輸送費用を抑えられるという。杉本光士郎社長は「より新鮮な肉を海外に届けることができる。今後も熊本空港を利用していきたい」と話した。(馬場正広)