中国でも大ヒット!? 世界市場が拡大する「縦型ショートドラマ」の可能性は? 専門家が解説
◆「タイパ」重視の層に刺さった?
吉田:「縦型ショートドラマ」が注目されている理由は何ですか? 塚越:「縦型のショートドラマ」は、実は中国で大きなヒットになっているんです。アメリカの「MIT テクノロジーレビュー」というサイトの記事によれば、中国の「フレックス TV」というアプリは、90分のドラマを1話2分程度に分割して配信しています。スマホの縦型で観やすいように作られているため人気があって、中国のショートドラマ全体の市場規模は、2023年に50億ドル以上になったとのことです。先ほど述べた日本企業も、この分野で先を行っているのが中国企業なので、そことタッグを組んだということですね。 また、電通が運営するビジネス情報サイト「ウェブ電通報」によりますと、日本でも2023年にショートドラマの人気が出てきたということです。人気の背景はやはり、“スピード感”とか“情報密度が濃い”ということです。 昨今、よく言われている、「タイパ(=タイムパフォーマンス)」が当たり前になってきていますが、とにかくテンポが良くて、簡単に見られるようにしないと、すぐに次の動画に“スキップ”されてしまいます。 ただ一方で、ドラマを観て感情移入したいという欲求はあるので、タイパ・コスパ重視の人にとっては、短い時間で“泣けた”、“笑えた”といった情報を与えてくれるショートドラマに人気が集まってきているのでしょう。 もっと言えば、1時間のドラマを1話観てから次を視聴するかどうかを決めるのは“コスパが悪い”ので、ショートドラマを数分・数話みて、次を観るかどうかを決めたいということだと思います。 さらに、先ほど紹介した「ウェブ電通報」によれば、企業もマーケティングの手法としてショートドラマに興味を持つケースが増えているとのことです。若者のテレビ離れだけでなく、昨今はデジタルメディアでも“広告をスキップする機能”が実装されているので、広告を出す側としても気になっているということですね。そうしたなかで、広告かどうかは関係なく、単にユーザーが“見たい!”と思う動画が制作できれば、動画自体がバズって、コストをかけずに視聴数を獲得できると言われています。 ただ個人的には、ショートドラマを広告として活用する場合は、動画に広告表記をしないといろいろな問題が生じてくると思うので、そのあたりの線引きは今後の課題だと思います。