為替取引レンジをドル高方向に突破すれば介入あり得る-山崎元財務官
(ブルームバーグ): 元財務官の山崎達雄国際医療福祉大学特任教授は、最近の通貨当局者からの円安けん制発言を踏まえると、足元の取引レンジを超えてドル高・円安が進んだ場合、政府がいつ円買い介入に踏み切ってもおかしくないとの認識を示した。
山崎元財務官は2日のインタビューで、約34年ぶりの円安で市場に介入警戒感が高まる中、1ドル=152円を上限に推移しているドル・円相場が「何らかのきっかけでレンジをドル高方向にブレークすれば介入する」と指摘。通貨当局の最近の発言からすると、「そういう態勢を取っていないとあのような言い方はしない」と語った。円安に拍車をかける要因の一つとして、米国の物価指標を挙げている。
円が152円に迫った3月27日、財務省と金融庁、日本銀行は3者会合を開催。会合後に神田真人財務官は、最近の円安の「背景に投機的な動きがあることは明らか」と市場を強くけん制し、介入も辞さない構えを示したが、円安の流れは変わっていない。介入への警戒感から当局者の発言への注目度が増す中、山崎氏は政府は再度、臨戦態勢に入っているとの見方を示した。
山崎氏は2003-04年の円高局面で為替市場課長として35兆円の大規模円売り介入に携わった。神田財務官は当時、課長補佐として山崎氏の右腕を務めている。山崎氏は、22年9月に政府が24年ぶりの円買い・ドル売り介入に踏み切る2日前、警戒レベルは上がっており、「介入をやっても全然おかしくない」との見方を示していた。
為替介入でも「全然おかしくない」、政府は臨戦態勢-山崎元財務官
介入の可能性を巡る現在の緊張感は、神田財務官が為替介入を「スタンバイ」していると発言した昨年11月と似ていると言う。
神田財務官は3月29日のインタビューで、日銀がマイナス金利解除を含む大規模緩和の見直しを決定した後の円安の動きについて、「反対方向という意味で強い違和感を持っている」と語っていた。