岸田首相の告発状を提出 会費1万円、地元秘書が「進行責任者」の就任祝う会 政治資金不記載などの疑い
岸田文雄首相の就任を祝う会を主催した任意団体が収益の一部とみられる資金を岸田氏の関連政治団体に寄付していた問題で、神戸学院大の上脇博之教授は4日、政治資金規正法違反(不記載など)の疑いで岸田氏や後援会代表者ら4人の告発状を広島地検に提出したと明らかにした。 【画像】岸田事務所が祝う会の連絡窓口 2月29日付の告発状によると、2022年6月に広島市内であった祝う会について「後援会の主催する政治資金パーティーだった」と主張。4人が共謀し、収益の一部約320万円を任意団体から岸田氏が代表の自民党広島県第1選挙区支部へ寄付したにもかかわらず、「後援会の政治資金収支報告書に一切記載しなかった」などと訴えている。 広島地検は告発状を受理したかどうかを明らかにしていない。岸田氏の事務所は「地元の政財界の皆さんに総理就任を祝って頂いた純粋な祝賀会であり、政治資金パーティーではない」とコメントしている。
自民党関係者「首相の事務所が一定に関わっている」
2022年に広島市で開かれた岸田文雄首相の就任を祝う会。岸田氏は自身の政治資金パーティーではないと説明しているが、会では当時の地元秘書が「進行責任者」を務め、会計などに一定に携わった可能性もある。政治資金規正法違反(不記載など)の疑いで出された告発状を地検が受理すれば、事務所側の関与の度合いが捜査の焦点になりそうだ。 複数の関係者によると、会の関係者向けの内部資料には、昨年12月に亡くなった地元秘書を「進行責任者」と明記。報道機関に配られた資料にも、問い合わせ先として、その秘書の名前と事務所の電話番号が書かれていた。自民党県連関係者は「首相の事務所が運営や会計に一定に関わっていただろう」とみる。 会は当初、22年1月に企画された。首長や経済団体代表ら11人が発起人で、案内状には「会費1万円」とあったが、政治資金パーティーとは記載していない。新型コロナウイルスの影響で延び、同年6月に岸田氏が出席して開かれた。 野党は国会で、会を主催した任意団体が収益の一部とみられる約320万円を岸田氏の政党支部に寄付していたと指摘。「実態は首相の事務所や後援会による政治資金パーティーではないか」と追及している。 一方、通常の政治資金パーティーと異なり、自民党県議たちはパーティー券の販売やスタッフの派遣を求められなかったという。発起人の一人で広島県の湯崎英彦知事は今年1月の記者会見で「純粋に祝賀会だという認識だった」と述べた。
中国新聞社