当選議員には胡蝶蘭 落選議員は段ボール箱の運び出し 衆院選後の“永田町のお引越し”で見えた自民党の大敗【大石邦彦が聞く】
■引っ越しの段ボールに…お祝いの胡蝶蘭 この衆院選は、裏金とは無縁の議員でも、有権者に容赦なく切り捨てられた。言ってみれば、12年間続いた自民党政治にNOが突きつけられたのだ。 この日、この議員会館から運び出される数多くの段ボール箱を見た。それは、自民党がいかに惨敗したかを物語っていた。議員会館の裏口からは、落選議員が地元に帰る為、引っ越し業者のトラックが行き来していたが、一方で当選議員に贈られる胡蝶蘭を積んだ業者の出入りが多かった。 衆院選の明暗が残酷すぎるほど際立っているように私の目には映った。同時に安倍政治の終焉を見ているような印象も抱いた。 愛知県で2012年に誕生した安倍チルドレンは10人。そのうち、今回の衆院選後まで残っているのは僅か2人。本人が総理でなくなっても、本人が亡くなっても継続していた安倍一強時代は、議員の数からも完全に終焉を迎えたと言っていいだろう。 ■選挙に勝たないと保証されぬ身分… 衆院選後の恒例行事、永田町のお引越し。ここまで大規模なのは、民主党政権交代により、自民党が下野した時以来という。引っ越しと言えば聞こえはいいが、要は追い出されるのだ。 選挙で勝たないと保証されない身分、しかし勝てば約2200万円の歳費に、使途を公開しなくてもよい調査研究広報滞在費(旧文通費)は年間1200万円など、お金の面だけでも懐事情は一変する。 しかし、これだけの大金があっても政治の世界では足りないらしく、だからこそ裏金問題は起きたのだ。 その裏金問題とは無縁だった熊田前衆院議員。しかし、有権者の厳しい審判が下った。自民党はなぜ負けたのか?ストレートに聞いた。 ■“国民の感覚との大きな乖離” 「国民の感覚とズレてしまっていたんでしょうね」 選挙戦の終盤で明らかになった2000万円の問題がダメ押しだったと振り返った。裏金問題で公認されなかった候補の党支部に、党本部から2000万円が振り込まれていたこと自体が、国民の感覚との大きな乖離だというのだ。