当選議員には胡蝶蘭 落選議員は段ボール箱の運び出し 衆院選後の“永田町のお引越し”で見えた自民党の大敗【大石邦彦が聞く】
衆院選で自民党大惨敗のニュースが全国を駆け巡ってから僅か3日後。私は国会議事堂の近くにある国会議員の議員宿舎で一人の前国会議員と待ち合わせをしていた。「もう仕事がないので…いつでもどうぞ」と取材時間にも制限はなかった。 【写真を見る】当選議員には胡蝶蘭 落選議員は段ボール箱の運び出し 衆院選後の“永田町のお引越し”で見えた自民党の大敗【大石邦彦が聞く】 愛知1区で自民党から立候補した熊田裕通前衆院議員。2012年の衆院選で自民党が民主党から政権を奪還した時に初当選した、いわゆる安倍チルドレンの一人だった。その後、小選挙区で3回当選し、地盤を守ってきたが、今回は日本保守党から出馬した前の名古屋市長、河村たかし氏に敗れた。 公示直後、「自分は派手好きなので、河村氏の立候補で全国的にも注目されてむしろ嬉しい」そう語っていた熊田氏。決して強がりではなくホンネだと感じたが、まだその時は裏金問題による大逆風と選挙モンスターの異名を持つ河村氏の底力を甘く見ていたのかもしれない。 ■がらんとした議員宿舎 休む間もなく引っ越し準備 議員宿舎に入ると、部屋は片付けが終わっていてがらんとしていた。落選が決まった後、支援者らに挨拶回りをし、休む間もなく引っ越しの準備を始めたという。 「国会の会期中もあまり泊まりませんでしたね」 懐かしそうに、それでいて寂しそうに語っていた。熊田氏のマイカーにはすでに荷物が積み込まれていたが、4期12年もの間、住み続けていた割には荷物は少なかった。地元にこまめに帰り、国政報告をしていたからだという。 ■石破総理の期待感の薄さが逆風か 議事堂のすぐ隣に位置している議員会館に行ってみると、他にも引っ越しの準備をしている前自民党議員がいた。議員会館とは衆参の国会議員の東京事務所などがある拠点で、取材などでもお馴染みの場所だ。 今回大躍進した国民民主党の新人候補 丹野みどり氏に敗れた、77歳の前議員八木哲也氏。この人も安倍チルドレンの一人だ。総裁選では石破氏を推し総裁に引き上げたが、皮肉にもその石破総理への期待感の薄さも逆風となった。