<わたしたちと音楽 Vol.46>和田彩花が語る、独立して目指した誰もが自分らしくいられる世界
【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック】(WIM)の日本版実施に伴い展開されている、独自の観点から“音楽業界における女性”にフォーカスしたインタビュー連載『わたしたちと音楽』。Vol.46となる今回は、アンジュルムのメンバーとして活動後に独立し、現在は音楽活動を続けながら、自身の好きな美術やフェミニズムについて発信している和田彩花が登場した。 アイドルとして活動していた当時を振り返り、「“アイドルらしさ”という言葉は、“女性らしさ”と意味合いが重なるんです」と説明した和田は、「社会での旧来的な性別役割分担意識が根強く残っているのを感じて、“アイドルらしさ(=女性らしさ)”を求められることで、自分の中で違和感が積み重なっていきました。だから、それをどうにかして乗り越えなくてはいけない、そうしなければ自分として生きていけない、と思いながらアイドルを続けていました」と語った。 この違和感が解明したのは、大学でのフェミニズムとの出会いがきっかけで、フランス文学の授業でシモーヌ・ド・ボーヴォワールの『第二の性』の「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」という有名な一節を知ったときには衝撃を受けたそうだ。 インプットしていることと、アイドルとしてアウトプットにズレが生じていた和田は、「アイドルは個人的な存在ではなくて社会的な存在だということを、正反対な考えを行き来しながら発見しました」と述べ、「どうにかアイドルの世界も変えられるんじゃないかって頑張ってみたけれど、1人では難しかった。自分がやりたいと思っていることは、今の会社に所属しながらでは実現できないと思ってグループからの卒業を決意したんです」と続けた。 ソロとなった現在、自分より若い世代に向けて発信を続けていきたいと語った彼女は、「私はアイドルとフェミニズムの問題を考えたいし、みんなが安心して働ける労働環境を目指しています。独立してそういう発言をしていったことで一番驚いたのは、ファンの方が応援してくれたことでした。SNSではまだ声をあげる女性を良く思わない人たちもいますが、味方がたくさんいるのもわかって、この人たちがいれば発信しても大丈夫だと思えました」と述べた。 インタビュー全文は特集ページにて公開中だ。また、【ビルボード・ジャパン・ウィメン・イン・ミュージック】の特設サイトでは、これまでのインタビューやプレイリストなどをまとめて見ることができる。 2007年からアメリカで開催されている【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック】は、音楽業界に貢献した女性を表彰するアワードで、2023年版は3月に実施された。日本では、インタビューやライブ、トークイベントといった複数のコンテンツから成るプロジェクトとして2022年秋にローンチした。 Photo: Megumi Omori