JX金属、中長期事業戦略を策定。27年度営業利益率目標12~17%
JX金属は14日、足元の取り組みや事業環境を踏まえ、昨年公表した中期経営計画(2023~25年度)を見直し、中長期の事業戦略および事業目標を策定したと発表した。半導体材料での成長投資の着実な推進と次世代材料の開発、情報通信材料の高付加価値製品へのシフト、組織再編やコスト削減などの構造改革を進める。営業利益は23~27年度で年平均成長率10~15%(23年度実績約860億円)を目指し、27年度の営業利益率12~17%(同約5・5%)、ROE10%以上(同約17%)を目指す。設備投資は半導体材料への成長投資を最優先に行い、今後3年間で約2700億円を計画する。 半導体材料部門は、先端半導体をはじめとする半導体需要の拡大を見据え、顧客ニーズに合致する開発・材料提案と市場成長を捕捉する成長投資を実行していく。加えて、幅広いラインアップで次世代材料の強化を図る。結晶材料事業を同部門の次世代の収益の柱とする取り組みを進めるほか、CVDやALD向け材料などでの事業規模拡大を図る。 情報通信材料部門は、既存用途での高機能化・微細化ニーズを捕捉するとともに、ウェアラブルやモビリティなどの分野での需要の取り込みや高付加価値品へのシフトを進める。また、新規事業領域の製品開発のほか、外注加工の活用や設備の多機能化などで需要変動に強い事業体制を構築する。価格適正化活動での収益性改善も図る。 基礎材料部門では、グリーンハイブリッド製錬の高度化を進め、電気銅の高付加価値化を目指す。また、三菱商事との合弁事業を通じてリサイクル原料集荷やサプライチェーン全体の連携を強化する。 構造改革では、パンパシフィック・カッパーの一部持分譲渡などの組織再編を実行してきたことによって24年度以降は連結営業利益に占めるフォーカス事業の比率が増加し、営業利益率も大きく上昇すると見込む。フォーカス事業は24~27年度の年平均成長率35~40%、営業利益率15~20%、28年度の営業利益構成比率67%以上を目標とする。加えて、23年度には在庫基準などの適正化、設備投資額や調達コストの見直しなどを通じて約30億円の営業利益の改善と約200億円の運転資本改善、約550億円の投資額削減を実現した。24年度も同額以上の営業利益改善を目指すとともに、運転資本改善、投資の最適化も継続的に実施する方針。