キリン氷結「広告取り下げ」に見る“空気感の変化”
キリンの缶チューハイ「氷結無糖」のCMが炎上し、早々に取り下げる事態に陥り波紋を広げている。 【画像】成田悠輔氏を起用したキリンについて疑問の声も相次いだ これは経済学者・成田悠輔氏をWEB広告に起用したもの。批判は成田氏の過去の発言が問題視されたことで巻き起こったものだが、どうしてキリンはその成田氏を起用し、早々に取り上げるような事態を招いてしまったのだろう? ■取り下げるか否かは難しい判断だった 今回批判されたのは、2021年12月に成田氏がインターネット番組「ABEMA Prime」に出演した際の発言である。その際の成田氏の発言内容は「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」といった、高齢者に対して批判的なものだった。これが、SNS上で掘り返されて批判され、「#キリン不買運動」というハッシュタグが拡散するに至った。
取り下げにあたって、キリンビール広報部はメディアからの取材に対して「過去に成田氏の発言の中にあった表現が、比喩か否かは別として、(弊社としては)過度な表現があったと判断をいたしました。今回、WEB広告に対して様々なご意見を頂戴いたしましたので、総合的に判断をいたしまして、一部のWEB広告の投稿を取り下げることにいたしました」等と説明している。 筆者が知る限り、CM起用後に起こした問題ではない要因での取り下げに関して、企業側が理由をここまで明確に説明するケースは珍しい。
今回のケースで思い出すのは、2020年、ネット通販大手Amazonが有料会員向けサービス「Amazonプライム」のCMに国際政治学者の三浦瑠麗氏を起用した際に起きた批判である。この時は、三浦氏がメディア上で徴兵制導入を主張していたこと、大阪に北朝鮮の工作員が潜伏していると発言したことなどが批判を集め、Twitter(現X)上では「#Amazonプライム解約運動」のハッシュタグが拡散した。 SNS上では取り下げに対して肯定的な意見は多かったが、脳科学者の茂木健一郎氏、メンタリストのDaiGo氏は「解約運動」に対して批判的な意見を述べている。