フィギュアGP前半戦終了 躍進の日本女子、男子はマリニンが連勝
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズは、全6戦のうち第3戦のフランス大会までが終了した。第4戦NHK杯から後半戦に入る。シリーズ上位6人・組が進むファイナル(フランス・グルノーブル、12月5~8日)争いも佳境に入っていく。 ◇樋口が復活の初優勝 女子は日本勢が躍進。いずれの大会でも複数選手が表彰台に上がった。 第1戦スケートアメリカでは樋口新葉選手(ノエビア)がGP14戦目にして初優勝。渡辺倫果選手(三和建装・法大)は取り組むトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳ばずに確実な滑りで2位を確保した。 第2戦スケートカナダでは世界女王の坂本花織選手(シスメックス)が優勝し、松生理乃選手(中京大)が2位、吉田陽菜選手(木下アカデミー)が3位と表彰台を独占した。GPシリーズでは2008年NHK杯以来、16年ぶりの快挙だった。特に松生選手はショートプログラム(SP)10位から、フリー1位となる好演で魅了した。 第3戦フランス大会では樋口選手が200点を超える安定した演技で2位となり、女子一番乗りでファイナル進出を決めた。住吉りをん選手(オリエンタルバイオ・明大)が今季序盤は跳ぶのを控えていた4回転トーループに挑戦。成功はならなかったが、その後の滑りをまとめ、国際大会では自身初の合計200点超えを果たし、5大会連続の表彰台となる3位に食い込んだ。 海外勢はトリプルアクセルを武器にするアンバー・グレン選手(米国)が第3戦SPで今季世界最高の78・14点をマークし、逃げ切り優勝。次戦は第6戦中国杯で、自身初のファイナル出場が懸かる。昨季世界選手権銀メダルのイザボー・レビト選手(米国)は第1戦3位となったが、第5戦フィンランド大会は欠場する。昨季世界選手権銅メダルの金采衍(韓国)は第3戦4位となっており、第6戦で立て直しを図る。 ◇マリニンが抜けだし、ファイナル進出 男子は、今季で唯一、合計得点で300点超えを果たしている世界王者のイリア・マリニン選手(米国)が、第1戦、第2戦の連戦を制し、ファイナル進出を決めた。世界で初めて成功させたクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)は組み込まず、ジャンプ構成を落とした中でも高次元の演技が光る。 第1戦2位のケビン・エイモズ選手(フランス)は、フリーでマリニン選手を上回る得点を記録する滑りを見せた。第3戦は得点こそ伸びなかったが、昨季世界選手権3位のアダム・シアオイムファ選手(フランス)が勝負強さを見せ、SP8位から逆転優勝した。 日本勢は三浦佳生選手(オリエンタルバイオ・明大)が第1戦で3位。古傷の左脚の痛みを抱える中、3季連続のファイナル進出を懸けて第4戦に臨む。 第2戦は佐藤駿選手(エームサービス・明大)が2位に踏みとどまった。僅差で4位となった山本草太選手(中京大)は、第5戦で巻き返しを期す。3選手ともSPでは90点台をマークしており、4本の4回転ジャンプを組み込むフリーの出来が大きな鍵を握ることになりそうだ。 島田高志郎選手(木下グループ)は第1戦は6位だったが、第3戦で自身初のGP表彰台となる2位に入った。友野一希選手(第一住建グループ)は股関節痛の影響もあり、第3戦は5位に終わった。約1週間の調整を経て、第5戦に向かう。 GPシリーズ後半の第4戦と第5戦には昨季世界選手権銀メダルの鍵山優真選手(オリエンタルバイオ・中京大)が控える。日本の実力者としての活躍に期待が高まる。 ◇りくりゅう、SPで今季世界最高点 ペアは第1戦で「りくりゅう」こと三浦璃来選手、木原龍一選手組(木下グループ)がシーズン前半としては及第点の合計214・23点をマークし、国際大会で1年7カ月ぶりの優勝を果たした。特にSPでは今季世界最高となる77・79点。第4戦で更なる上積みを目指す。 第2戦は昨季世界選手権優勝のディアナ・ステラートデュデク選手、マキシム・デシャン選手組(カナダ)、第3戦は合計点で今季世界最高の218・44点を持つミネルバファビエンヌ・ハーゼ選手、ニキータ・ボロディン選手組(ドイツ)が順当に1位となっており、シリーズ後半もこの3組が中心となりそうだ。【倉沢仁志】