ビール類主要ブランドを軒並みリニューアル サントリーが2025年事業で戦略強化
ビールブランドをリニューアルし、「二極化」に対応――。サントリーは12月24日、2025年の「国内酒類事業方針」と「ビール事業方針」についての記者会見を開催。高級志向の「ザ・プレミアム・モルツ」から定番の「サントリー生ビール」、第三のビール「金麦」までを一斉にリニューアルし、消費の二極化に対応する戦略を強化することを明らかにした。 東京都内で開かれた記者会見にはサントリーの鳥井信宏社長、多田寅(すすむ)常務執行役員ビール本部長が登壇。鳥井社長は24年の酒類販売について、売り上げ見込みが全体で前年比105%と「比較的堅調だった」と説明した。市場全体では「コロナ後の回復基調が続いている」として、25年も前年比105%と見込んだ。ビール類は24年が100%と前年同様だったものを25年は105%と伸長する計画を示した。 ▽消費の二極化 多田本部長は、ビール市場について「高くてもいいものを飲みたい人と、日常的に飲みたい人と二極化している」と分析。酒税改正で26年にビール、発泡酒、第三のビールの税額が一本化されることを追い風にビール需要が高まるとしながら「(発泡酒や第三のビールといった)エコノミー缶は市場の半分は残る」と話した。 こうしたことからサントリーは、25年1月から順次「ザ・プレミアム・モルツ」「サントリー生ビール」「金麦」に加え、糖質ゼロの「パーフェクトサントリービール」までビール類主要4ブランドのパッケージを刷新し、消費者にアピールする戦略を打ち出した。「金麦」に関しては、サワーのような発泡酒として限定販売していた「金麦サワー」を「新たな食中酒」として「金麦〈晩酌サワー〉」と名称変更し、4月に全国発売する。 ▽万博で再生農業生産ビール また、2025年大阪・関西万博で、農業由来の温室効果ガス排出量が削減できるとされる再生農業手法による原料(麦芽・ホップ)を使用したビール「水空(すいくう)エール」をサントリーが出店するレストランで限定販売する。 多田本部長は酒類市場において「とりわけビールは消費者との接点が大きい」とビール事業強化について強調。国内ビール市場はアサヒ、キリンの2強といわれる中、鳥井社長は「シェア25%に近い数字を目指す」と意気込んだ。