今年のS&P500値上がり率トップは「エヌビディアではない」あのAI企業
今年のS&P500の構成銘柄で、最も好調なパフォーマンスを記録した株は、エヌビディアやテスラではなく、人工知能(AI)ブームの恩恵を受けた隠れた存在であるパランティア・テクノロジーズだった。 パランティアは、2024年のS&P500のトップパフォーマーとなり、12月23日時点で年初来369%のリターンを記録している。 同社がS&P500に加わったのは9月のことで、その株価の上昇の多くは過去3カ月のものだ。パランティアの株価は、AI銘柄への市場の熱狂に加えて次期トランプ政権下での国防費の増加への期待から、11月の大統領選の投票日以降に58%上昇した。 ファクトセットのデータによると、同社株のS&P500への組み入れの発表後の166%の上昇は、同期間のS&P銘柄の中で最強のリターンとなっている。パランティアの時価総額は今年、370億ドル(約5兆8000億円)から約1800億ドル(約28兆3000億円)へと急上昇し、2020年の新規株式公開(IPO)時の200億ドル(約3兆1000億円)との比較では9倍の伸びとなった。 一方、生成AIを支える半導体テクノロジーの王者であるエヌビディアの23日時点の株価は、年初来で172%高を記録していた。 パランティア株は、時価総額が500億ドル(約7兆9000億円)以上の上場企業の中では、アプリ収益化ソフトのアップラビン(756%高)とビットコイン投資のマイクロストラテジー(477%高)に次ぐ、今年3番目に好調な株となっている。 パランティアは、AIを活用した大量のデータ処理ソリューションを提供する企業で、「商業分野および政府向けの市場におけるAI需要の急増の恩恵を受けている」と、バンク・オブ・アメリカのアナリストのマリアナ・ペレス・モラは顧客向けノートで説明している。 パランティアは米国防総省(ペンタゴン)の請負業者としての活動で最も知られているが、顧客リストにはゼネラル・ミルズやユナイテッド航空なども名を連ねている。同社の米政府との契約からの収益は、第3四半期の収益全体の7億2600万ドル(約1140億円)のうちの4億800万ドル(約640億円)を占めていた。 ■S&P500で「最も割高」な銘柄 10億ドル(約1570億円)にも満たないパランティアの四半期あたりの収益は、時価総額が1500億ドル(約23兆5700億円)を超える企業としては異例の少なさに思える。しかし、その理由は明白で、同社の株の現在のPSR(株価売上高倍率)は67倍にも達し、S&P500の構成銘柄の中で最も割高な銘柄となっている。