ウオークスルーが便利 ホンダ フリードe;HEVエアーをおじさんリポーターが試乗
ホンダが6月に発売した新型フリードは、取り回しが楽な5ナンバーサイズのミニバン。6人乗りの仕様は、運転席・助手席から3列目シートまで自由に移動できるウオークスルーが便利だ。シンプルなデザインの「エアー」とアウトドアテイストの「クロスター」の2タイプを用意している。 【ウオークスルーが便利 ホンダ・フリードの試乗動画はこちら】 ■HVの方式を一新 シンプルな外観の「エアー」は、写真で見たときにはあっさりし過ぎと感じたが、実車を前にすると端正で奥ゆかしい印象を受ける。「クロスター」は、アウトドアレジャーでの利用を想定した黒いフロントバンパーや専用フロントグリル、ホイールアーチプロテクター、ルーフレールなどを装備している。 車体の大きさは全長が先代より45ミリ長い4310ミリになったが、全幅は1695ミリ(エアー)のままで、取り回しのいい5ナンバーサイズを維持している。 パワーユニットは最高出力118馬力の1・5リットルガソリンエンジンと、エンジンで発電しモーターで車輪を駆動するe:HEVの2種類。e:HEVの発電専用1・5リットルエンジンは最高出力106馬力。これに対して駆動用のモーターは123馬力を発生する。 先代フリードのHV(ハイブリッド)は、エンジン(110馬力)による走行をモーター(29・5馬力)で補助する仕組みだったが、今回のモデルチェンジで一新した。 車両の本体価格は、装備が充実したe:HEVエアーEXが304万7千円。同グレードのガソリン車は269万7200円なので、価格差は約35万円になる。発売から1カ月間の受注状況を見ると、一番人気はe:HEVエアーEXで、全体の55%を占めている。クロスターを含めてHVの比率は83%。モーターによる力強い走りと低燃費が評価されているという。 ■エンジン回転で演出 試乗したのは売れ筋のe:HEVエアーEX。モーターによる発進は静かで滑らかだ。車内に入り込む騒音も抑えられており、一定速度で走っていると発電用エンジンの音も気にならない。 このエンジンは加速の際に、手動でギアチェンジをしたように回転が上下するよう制御されているところがホンダらしい。アクセルペダルを深く踏み込んだ時のエンジン音は軽快。モーターで走っているのに、エンジン回転が同調して気持ち良く走ることができる。 小柄な車体にもかかわらず乗り心地はゆったりしている。道路の工事跡やマンホールを乗り越える際のショックも上手にいなしてくれる。 ■後席用のエアコンも 試乗車は、2列目の座席がキャプテンシートになった6人乗りのタイプ。運転席・助手席から3列目まで通り抜けができる。室内高はあまり高くないが、身長172センチのリポーターでも楽に移動でき、3列目シートの座り心地も良かった。 天井には2列目、3列目用にエアコンの吹き出し口があり、風向きや風量の調節が可能。試乗した日は最高気温が35度を超える猛暑日だったが、2列目に座った乗員も快適な時間を過ごすことができた。 また、3列目シートは簡単な手順で、左右に跳ね上げることができる。床の位置が低いので荷物がたっぷり載せられることに加えて、子どもの送迎時には自転車も楽に積めそうだ。 【試乗車提供】ホンダカーズ田辺・稲成店(田辺市稲成町46、0739・24・4500) データ 全長×全幅×全高=4310×1695×1755ミリ▽ホイールベース=2740ミリ▽車重=1480キロ▽駆動方式=FF▽エンジン=1496cc水冷直列4気筒DOHC、78kW(106馬力)/6000~6400回転、127Nm(13.0キロ)/4500~5000回転▽モーター=90kW(123馬力)/3500~8000回転、253Nm(25.8キロ)/0~3000回転▽燃料消費率=25.4キロ(WLTCモード)▽トランスミッション=電気式無段変速機▽車両本体価格=304万7千円 リポーター 長瀬稚春=運転免許歴49年。紀伊民報制作部長
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