2024年、湾岸エリアのマンションはバブル崩壊するか?! 売却・購入のタイミングはいつ?
2024年、湾岸エリアのマンション価格は上がる?下がる?
今後、湾岸エリアのマンション価格はどうなるのかを考察します。まずは、湾岸エリアのマンション取引市況を振り返ってみましょう。 以下は、弊社が独自で提供しているサービス「湾岸マンションアナリティクス」のデータ分析結果です。 グラフの通り、湾岸マンションの成約価格(黒線)は上昇の一途をたどっております。驚異の10カ月連続上昇です。 成約件数(青棒)も多く、2022年9月~12月の成約件数が270件に対し、2023年9月~12月は337件で約25%アップと、マンション価格が上がっても活発に取引されていることがわかります。 最も注目すべき指標は、募集件数(黄線)です。2023年7月以降の募集件数は急降下しており、過去2年を振り返っても、最も在庫が少ない状況でした。 「供給不足・需要過多」という状況が明白であることがよくわかります。アダム・スミス※の価格決定メカニズムに照らしても、供給不足にあるということは、さらに価格が上がっていく可能性が高いと言えます。 ※イギリスの経済学者。著書に『国富論』などがある 不動産取引の現場は、読者の皆さまが想像しているよりもずっと戦々恐々としており、まさに早いもの勝ちのイス取りゲームと化しております。
湾岸エリアのマンションを売却するタイミングは?
以前の記事(「湾岸2024年問題」で中古マンション価格は下落する?)で解説したとおり、2024年は、「晴海フラッグ」や「パークタワー勝どき」の大規模新築マンションの引き渡しが控えているという点で、2023年の秋以降から徐々に売却募集数が増えると期待していましたが、その期待は見事に裏切られました。 ただ、2024年になって晴海フラッグの引き渡しが本格的に始まり、そのタイミングで財閥系大手不動産仲介会社が晴海フラッグの転売募集解禁となったことで、転売募集数が一気に増えてきました。 現状、1月時点で少なくとも80件以上の転売募集がありますが、今後さらに増えていくと予想しております。 湾岸エリアのマンションは、転売よりも長期保有前提に また、晴海フラッグにおいて驚くべきは、転売ではなく賃貸市場のほうです。 すでに分譲棟だけで250件以上の募集があります。賃貸棟を入れると400件近いということで、晴海フラッグは売却よりも賃貸の募集数が明らかに増えています。 晴海フラッグの動きが顕著ではありますが、今の市況を分析すると、投資家勢は売るより貸すほうが優勢ということがわかります。 つまり、まだ価格が上がるという予想で長期保有前提にシフトチェンジしていると考えられます。今のところ、近隣エリアの売却募集数が増えてきていないのも同じ理由かもしれません。 一方で、新築購入時にご自宅に売却条件が付いている場合は売るしかありません。その多くは購入先行で売却期間の猶予があるローンがほとんどですので、先に購入先に引越してから売ることが可能です。 現在の需要が強い過熱した状況を考慮すると、ぎりぎりまで保有して新居に引越した後、空室で売ったほうが高値で成約できると考える方も少なくないでしょう。 それが、募集件数が増えてこないもうひとつの理由だと考察しております。 今後、晴海フラッグの引き渡しは数カ月続くので、近隣エリアの売却募集数は徐々に増えていく可能性も十分考えられますが、価格が下がるほど在庫が溢あふれる未来は想像しにくいです。 焦って売る必要はない 前述の通り、現場レベルで需給バランスを見る限り、今後不動産価格が下がっていくシグナルは全くありませんので、売らなければいけない理由がある方以外は焦って売却を急ぐ必要はありません。 一方でマクロ経済の視点でみると、そろそろマイナス金利が解除される可能性が高まっているという事実も否定できません。が、湾岸マンション市況にとっては焼け石に水というか、影響は限定的であると考えます。 もちろん、不動産価格の上昇圧力は多少和らぐと思いますが、マイナス金利の解除だけで湾岸マンション価格が大きく下がっていくということは考えにくいです。それぐらい今は需要の力が大きいのです。 マイナス金利解除にとどまらず、大幅に政策金利を引き上げるようなことがあれば話は別ですが、それこそ1990年以降のバブル崩壊につながりかねないので、日銀としては金利の引き上げには慎重にならざるを得ず、あまり現実的ではないと考えます。