『デッドプール&ウルヴァリン』異例の大ヒット 『ジョーカー』の記録を抜き去る見込み
M・ナイト・シャマラン監督最新作『Trap』が第3位に初登場
そのほか今週は、M・ナイト・シャマラン監督の最新作『Trap(原題)』が第3位に初登場。ジョシュ・ハートネット演じる連続殺人鬼が、娘とともにコンサートに参加して警察の追跡を逃れようと企むスリラーだ。週末3日間の興行収入は1560万ドルで事前の予測通り。シャマランの前2作『ノック 週末の訪問者』(2023年)と『オールド』(2021年)と同等の滑り出しでもあり、製作費3000万ドルの回収には相応の客足を維持しなければならない。Rotten Tomatoesでは批評家スコア49%・観客スコア64%、映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「C+」評価と、やや口コミ効果には不安が残る。 映画製作のために自己出資を続けてきたシャマランは、本作でもそのインディペンデント精神を継続。ただし、配給は『ヴィジット』(2015年)から『ノック 週末の訪問者』までの5本を担当してきたユニバーサル・ピクチャーズから、『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006年)以来のワーナー・ブラザースに移った。日本公開は未定。 第6位に初登場した『Harold and the Purple Crayon(原題)』は、クロケット・ジョンソンの絵本『はろるどとむらさきのくれよん』を、『シャザム!』シリーズのザッカリー・リーヴァイ主演で実写化したファンタジーコメディ。ソニー・ピクチャーズとしては、『シング・フォー・ミー、ライル』(2022年)に続く児童向け作品の映画化だ。 もっとも週末興収は600万ドルとふるわず、『インサイド・ヘッド2』と『怪盗グルーのミニオン超変身』から注目を奪うことはできなかった。製作費は4000万ドルなので、劇場公開での黒字化は難しい。希望があるとすれば、Rotten Tomatoesの批評家スコアは27%と散々な数字なのに対し、観客スコアは92%と高いこと。CinemaScoreでも「A-」評価と一般観客の支持は高いため、口コミでどこまで数字を伸ばせるか。こちらも日本公開は未定。 北米映画興行ランキング(8月2日~8月4日) 1.『デッドプール&ウルヴァリン』(→前週1位) 9700万ドル(-54.1%)/4230館(+20館)/累計3億9557万ドル/2週/ディズニー 2.『ツイスターズ』(→前週2位) 2265万ドル(-35.3%)/4009館(-161館)/累計1億9558万ドル/2週/ユニバーサル 3.『Trap(原題)』(初登場) 1560万ドル/3181館/累計1560万ドル/1週/ワーナー 4.『怪盗グルーのミニオン超変身』(↓前週3位) 1125万ドル(-22.9%)/3376館(-234館)/累計3億1397万ドル/5週/ユニバーサル 5.『インサイド・ヘッド2』(↓前週4位) 670万ドル(-22.3%)/2615館(-535館)/累計6億2686万ドル/8週/ディズニー 6.『Harold and the Purple Crayon(原題)』(初登場) 600万ドル/3325館/累計600万ドル/1週/ソニー 7.『Longlegs(原題)』(↓前週5位) 413万ドル(-38.9%)/2150館(-580館)/累計6694万ドル/4週/NEON 8.『The Firing Squad(原題)』 160万ドル/702館/累計160万ドル/1週/Atlas Distribution Company 9.『クワイエット・プレイス:DAY 1』(↓前週6位) 140万ドル(-55.2%)/1039館(-893館)/累計1億3740万ドル/6週/パラマウント 10.『バッドボーイズ RIDE OR DIE』(↓前週7位) 60万ドル(-54.9%)/437館(-569館)/累計1億9291万ドル/9週/ソニー (※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2024年8月5日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります) 参照 https://www.boxofficemojo.com/weekend/2024W31/ https://variety.com/2024/film/box-office/box-office-deadpool-wolverine-second-weekend-1236095058/ https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/deadpool-and-wolverine-box-office-record-second-weekend-1235965690/
稲垣貴俊