「避難指示」と「避難勧告」の違いは? 「避難準備」はどう対応すべき?
名称変更で「高齢者避難」「緊急」強調
実はこれら3つの名称は、2016年12月から変更されたものです。以前は「避難指示」「避難勧告」「避難準備情報」と呼ばれていました。メディア報道では現在でも以前の呼称で表記されることが多いようです。 名称変更の大きなきっかけとなったのは、岩手県岩泉町の高齢者施設で9人が犠牲になった2016年の台風10号による水害でした。台風上陸前に避難準備情報が出ていたものの、「高齢者らは避難を開始する」という避難情報の趣旨が十分に伝わっておらず、施設側の避難行動につなげられなかったという教訓です。 改定されたガイドラインでは、避難準備情報が高齢者らの避難を開始する段階であることを打ち出すために「避難準備・高齢者等避難開始」に変更しました。さらに、避難勧告と避難指示の違いを明確にすべく、避難指示に「緊急」を付け加えました。
どう逃げる? ハザ―ドマップ確認を
では自分の住む地域に避難勧告などが発令された場合、どう対応すればいいのでしょうか。 まず逃げる場所を把握しておかなければなりません。洪水なのか土砂災害なのか、災害の種類によって、自治体が指定する緊急避難場所は違うことがあるので、「どこに逃げるのか」についても事前に確認しておく必要があります。 また普段から、自分の住む地域には、どんな種類の災害が起こる可能性があり、地質や地形などからどの程度その危険が高いのかなどについて知っておくことも、避難の判断に役立ちます。国土交通省の「ハザードマップ」を見ておくとよいでしょう。 実際に豪雨などに見舞われた場合、避難の判断に避難指示や避難勧告が目安になることは言うまでもありませんが、それ以外にもウオッチすべき情報はあります 例えば、土砂災害の危険性の高い地域であれば「土砂災害警戒情報」、洪水や河川氾濫の可能性がある地域であれば「氾濫警戒情報」(指定河川のみ)です。 土砂災害危険情報は、土砂災害がいつ発生してもおかしくない状況になった場合、都道府県と気象庁が共同で発表します。氾濫警戒情報は、気象庁と国土交通省、都道府県が判断するもので、河川がいつ氾濫してもおかしくない状態(=氾濫危険水位)には「氾濫危険情報」が出されます。これらの情報は、市町村による避難勧告などの発令や、住民の自主避難の判断の参考になるように警戒を呼びかけます。 一方で、2009年の台風9号による水害では、兵庫県佐用町の住民が浸水している町の中を避難する途中で犠牲になった痛ましい例がありました。このように既に周辺で災害が発生している場合や、浸水などで避難場所に行く方がかえって危険だと判断される場合には、被災の心配のない場所にある親戚宅など「近隣の安全な場所」への避難や、自宅の2階など「屋内での安全確保」を選択する方が安全な場合もあり、ケースバイケースで判断する必要があります。 ただし土砂災害に関しては、自宅での安全確保ではなく「立ち退き避難」が原則です。