ザリガニが和食になった!! 日本酒に合う!? 東京農業大学の“ザリガニ先生”がその魅力を教えてくれた
「ザリガニが料理に!?」。日本では生態系へ影響が大きいことから今年6月、条件付特定外来生物に指定されたアメリカザリガニ。中高年世代なら、幼少期に川や池で獲った経験がある人もいるだろう。日本では規制対象の生物だが、欧米や中国などでは人気食材として知られている。ザリガニ研究に関するミニシンポジウムが12月8日、東京農業大学で開催された。 同大でザリガニを研究する武田晃治教授は「気候変動が世界的な問題となり、食料不足が懸念される中、アメリカザリガニを適切な管理のもとで食材として活用することは、その解決策の一つになる」と説明する。分析の結果、身は高タンパクで、殻は抗酸化物質として知られるアスタキサンチンが含まれているという。ザリガニは捨てるところがない食材だという指摘は驚きだ。 人口増加が著しいケニアでも、アメリカザリガニの研究が進んでいる。生産コストが安く、世界的な需要が見込めることで、ジョモ・ケニヤッタ農工大学やキスメオ オーガニクス会社(ケニア初のザリガニ養殖業者)が同大と共同研究。キスメオ オーガニクス会社はザリガニの養殖管理システムを作るなど、資源の活用につなげようとしている。
柳原料理教室主宰の柳原尚之さんによるザリガニ料理が供された。炊き込みご飯、かき揚げ、胡麻和えの3つで、見た目は和食弁当と変わりない。食感はプリっとしていて、旨みがあり美味しい。言われなければ、ザリガニとは分からない人が多いだろう。柳原さんは「油との相性がいい」とメリットを指摘したが、一方で「殻をむくのが大変」とも。ザリガニ1尾から取れる身は少なく、課題といえるだろう。 もう一つの試みは、ザリガニ料理と日本酒のマリアージュ。同大出身で、客員教授を務める南部美人五代目蔵元の久慈浩介社長が3種の日本酒と梅酒1種を紹介した。「あわさけスパークリング」は瓶内二次発酵した日本酒で、シャンパンのような味わい。「純米吟醸 プリンセスミチコ」は同大がバラの花から分離した花酵母を使っている。久慈さんは「ザリガニの旨みと日本酒は相乗効果を生む」と強調した。日本国内ではもちろんのこと、近年日本酒人気が高まっている外国でも、ザリガニ料理に合う酒として受け入れられるかもしれない。 ザリガニ愛があふれる武田教授。各界の関係者を巻き込んだザリガニ活用の今後に注目したい。