水ダウ・ハニトラ仕掛け人が「うますぎる」と話題の俳優・三輪晴香「嫌われる覚悟もしていた」
■好きになっていたので、キスシーンに抵抗はなかった
――『水曜日のダウンタウン』にはどういった経緯で出演されたんでしょうか。 三輪:事務所に来たオーディションを私に振ってくださったのがきっかけです。 ――オーディションだったんですね。どんなことを披露されたんですか? 三輪:ハニートラップの仕掛け人ということで、触れないけど触れそうな感じのスキンシップなど、“あざとい”と言われるようなテクニックを入れた演技をその場で実践しました。TikTokで“あざと女子”を演じるショートドラマを投稿しているのが役に立ったかもしれません。 ――『水曜日のダウンタウン』からブレイクした芸人さん もたくさんいるような、影響力のある番組に、ご自身が出演することについてはいかがでしたか? 三輪:毎週見ている大好きな番組です。収録の時は“演技のお仕事”って思っていたのでそこまでじゃなかったのですが、オンエアの時は「大好きな番組に自分が映っている」っていうのが驚きでした。終始、変な汗をかいている感じでしたね。 ――うれしい緊張だったんですね。 三輪:もちろんそれもありますが…仕掛け人なので、嫌われる覚悟もしていました。だからSNSでの反応がとても怖かったですね。普段応援してくれる人が嫌な気持ちにならないかな…とか。鳴りやまないくらいの通知があって、最初は怖くてスマホを手に取れませんでした。 ――でも実際は賞賛のコメントがほとんどでしたよね。ドッキリでスポットが当たるのは“仕掛けられる側”で、仕掛け人にあそこまで称賛の声が集まるのも珍しいように思いました。 三輪:ありがたいことに、「水ダウ、おもしろいです」「応援します」っていうコメントがほとんどでした。フォローしてくれる方も、何倍にも増えましたね。 ――初めての仕掛人。準備はどれくらいされたんですか? 三輪:俳優として、ひとつの作品に入った感覚でした。(ドッキリのターゲットとなる)お見送り芸人しんいちさんに好きになってもらうためには、私も本当に好きになろうと思って、しんいちさんのことをたくさん調べましたし、今回は普通のハニートラップではなく“何回も仕掛ける”という特殊なものだったので、「今度は本当だよ」っていうことをどうやって伝えよう かと試行錯誤しました。 ――しんいちさんに“女優魂”と言われていたキスシーンもありましたよね。 三輪:最大5回ということと、5回目までいったらキスするということは最初から決まっていました。私は役としてというか…、しんいちさんのことが好きな役に入っていたので、キスに抵抗はなかったです。でもしんいちさんからキスをしてもらわないといけなかったので、少し難しかったですね。でも、あの場では自然に、私が好きな人に対する接し方ができたんじゃないかなと思っています。 ――5回も仕掛けるというのは並大抵ではないと思うのですが、具体的に意識したことはどんなことでしょうか? 三輪:回を増すごとに心を開いているように意識しました。目の合う回数や、スキンシップを増やしてみたり、タメ口を使ったり。でも必死さは出さないようにしました。 ――共演後もしんいちさんが三輪さんのTikTokライブを見に来てくれたんですよね。 三輪:そうなんです。入室するとアカウント名の通知があるので、リスナーのみなさんも盛り上がってくれて。本当に驚きました(笑)。「はるかちゃん好きだよ」みたいなコメントしてくれて、「私も好きですよ」ってお返ししました。本当に優しいですよね。素敵な先輩です。またいつかご一緒できたらうれしいです。 ■見せたことのない部分を見せたいし、自分でも見つけたい ――そんな中、重要な役で出演されている映画『初めての女』が今月21日より公開されるんですよね。 三輪:芥川賞の選考委員を創設以来46年間務めた俳人で小説家の瀧井孝作さんの自伝を映画化したものです。私は三味線芸者であり孝作さんの人生に影響を与える菊を演じています。実は芸者になりたいという夢も持っていたので、こういった形で叶ってうれしいです。 ――特技に日本舞踊や三味線もありましたよね。それも武器になっての抜擢だったのでしょうか? 三輪:オーディションでは「三味線を続けています」ということは伝えたのですが、特に披露することはなかったんですよね。好きでやっていたことが生かせて、幸せでした。三味線を鳴らしているところは、ぜひ注目していただきたいシーンのひとつですね。 ――作品を拝見させていただきましたが、風景や、心の機微が美しい物語でしたよね。 三輪:そうなんです。登場人物の繊細な気持ちや葛藤、そして決断を見ていただきたいです。菊は実在した方なので、私が演じることで迷惑をかけないように、失礼に当たらないように…ということを意識して、丁寧に演じようと思っていました。見ている方にそれが伝わったらうれしいです。 ――役作りとしてされたことはありますか。 三輪:大正時代のお話なので、スマホでの連絡を取らないようにしたり、アナログな日常を心掛けるようにしました。それと、菊の部屋に一夜泊めていただいたりしました。12月の飛騨高山は雪も降っていて気温も低いのですが、電気もつけずに過ごすことで、“あの時代”を肌で感じることができました。部屋の中ではずっと菊のことを考えて、寄り添って…とても大切な時間になりました。 ――注目の中、映画が公開され、三輪さんの次の動きが気になっている方もいると思うのですが、今後はどのような活動をしていきたいのでしょうか? 三輪:まだまだ“挑戦”をしたいなと思っています。趣味や特技、資格などもそうなんですが、いろいろなことに興味があるし、成長したいです。役者には成功やゴールがないので、見せたことのない部分を見せたいし、自分でも見つけたい。あとは、“私だから任せられる”という存在になりたいなって思います。 ――お仕事のご依頼も増えているんでしょうか? 三輪:ありがたいことに、『水曜』以降、お声をかけていただくことがかなり増えました。まだ言えないことが多いのですが、今までやってこなかった分野にもチャレンジできるということでワクワクしています。今後もぜひ注目していただけたらうれしいです! ――バラエティ番組で注目が集まりましたが、そちらに力を入れるなんてことは…? 三輪:興味はありますが、やるとしたらまた違った勉強が必要だと思います。先日の立ち位置はあくまで役者の延長線上だったので。まだまだがんばることがたくさんあるなって思っています。まずは役者として、目の前のことを積み重ねていきたいですね。 写真/山崎美津留