韓国の電池工場で火災、22人死亡 死者の大半は中国籍
韓国のリチウム電池工場で24日、大規模な爆発による火災が発生し、消防当局によると、少なくとも22人の作業員が死亡した。死者の大半は中国籍という。 消防当局によると、約3万5000個の電池が保管されていた倉庫内でバッテリーセルが爆発し、火災になった。爆発の原因は不明。 工場労働者向けのレストランで働く人たちは、爆発音は銃弾のようだったとロイターに語った。 レストランの経営者は「戦争が起きて銃声が聞こえて砲弾が落ちてきたのかと思った。とてもうるさかった。大きな音が続いた」と話した。レストランで働く人は「本当に暗い気持ちだ。犠牲になった人たちは毎日ここに来ていたけれど、きょうは来なかった。食欲がなくて、夕食も食べたくない。彼らのことを思うと、とても悲しい」と語った。 火災が起きたのは電池メーカー、アリセルの工場。首都ソウルから南西に約90分の主要産業集積地、華城にある。工場の上層階の一部が崩壊し、建物から大きなかたまりが道路に吹き飛ばされた。煙が空に立ち込める様子も撮影された。ロイター関係者は、消防隊員が工場から6人ほどの遺体を運び出すのを見たという。 地元消防当局者は、会社関係者の情報として、犠牲者には中国籍の作業員18人、ラオス国籍の作業員1人が含まれると明らかにした。 韓国の尹錫悦大統領は現場を訪れ、当局者から説明を受けた。李祥敏行政安全相は地元当局に対し、危険な化学物質による周辺地域の汚染を防ぐ措置を講じるよう要請した。 防災に詳しい大田大学のキム・ジェホ教授は、ニッケルなどの電池材料は燃えやすいため、火災が急速に広がり作業員は逃げる間もなかったのだろうと語った。 アリセルはセンサーや無線通信機器用のリチウム一次電池を製造している。オフィスに連絡を試みたが応答はなかった。同社は韓国の株式市場に上場していないが、規制当局への提出書類によるとS-Connectが過半数を所有している。S-Connectは韓国コスダックの指数に登録されており、株価は22.5%下落して取引を終えた。 産業経済国である韓国は、過去に発生した事故でその多くが過失によるものとされたことから、安全対策の改善に取り組んできた。