AI・半導体分野支援で160兆円の経済波及効果を実現-経済対策原案
(ブルームバーグ): 政府は人工知能(AI)・半導体分野への大規模な支援を通じて「約160兆円の経済波及効果」を目指す方針だ。ブルームバーグが確認した経済対策の原案に明記した。
それによると、政府は複数年度にわたって必要な財源を確保しつつ、補助・委託や金融支援により10兆円以上の公的支援を行う「AI・半導体産業基盤強化フレーム」を策定する。国内生産拠点の整備や研究開発支援を実施し、次世代半導体の量産に必要な法制上の措置を検討し、次期通常国会に法案を提出する考えも示した。今後10年間で50兆円を超える官民投資を誘発するという。
AI・半導体支援は岸田文雄前政権下で進められ、約4兆円の予算を確保していた。石破茂首相としては前政権の路線を引き継ぎ、重視する「地方創生」の観点も加味し、支援をさらに拡大していく姿勢を示す形となる。対象は北海道で次世代半導体の量産を目指しているラピダスへの追加支援などが念頭にあるとみられる。
石破首相は11日夜の記者会見で、熊本県での台湾積体電路製造(TSMC)の工場誘致について「地方創生の好事例」として挙げ、「地方からの活性化と経済全体の活性化の二つの取り組みを同時並行で進めることで日本の活力を取り戻す」と語った。
公的支援の財源について石破首相は、今後各省庁間で議論すると述べるにとどめたが、赤字国債の発行は否定した。共同通信は1日、ラピダスなどの支援財源を巡り、NTTなどの政府保有株を裏付けに新たな国債を発行する方針を固めたと報じている。
首相発言を受け、武藤容治経済産業相は12日午前の記者会見で、経済対策を調整する過程で具体的な支援方法や財源を含めた詳細について、関係省庁で「詰めの作業を行っている」と語った。 半導体分野での対象はラピダスに限らないとし、財源確保のための増税を行う予定はないとも述べた。
自民、公明両党は同日、それぞれ政務調査会の会議を開き、経済対策の早期策定に向けた本格的な調整に入った。両党はその後、国民民主党と3党の政調会長による協議を開催。国民は賃上げ実現に向けた政労使合意の締結や、クリーンエネルギー自動車購入促進補助金の補強などを求めた追加の要望書を両党に提出した。今後、3党間で引き続き協議する。