「スター・ウォーズ」俳優たちが語る特殊メイクの苦労話…スタッフに認識されず、衣装に触るのも一苦労?
「スター・ウォーズ」の新たなオリジナルドラマシリーズとして、ディズニープラスで独占配信中の「スター・ウォーズ:アコライト」。第1話と第2話が配信5日間で累計視聴回数1100万回を突破するなど世界中で大熱狂を巻き起こしている本作の注目ポイントは、やはり様々な種族が登場する「スター・ウォーズ」シリーズの醍醐味ともいえる“特殊メイク”。そこで本稿では、本作の劇中に登場する2人の登場人物の特殊メイクにまつわるエピソードを紹介していこう。 【写真を見る】“緑の皮膚×剃髪”ジェダイを演じたレベッカ・ヘンダーソン「自分が緑色であることを忘れて驚いた」 本作の舞台は『スター・ウォーズ/ファントム・メナス(エピソード1)』(99)の約100年前の“ジェダイ黄金期”。正義の守護者ジェダイが銀河に多く存在し、戦争もなく平和であった“光”の時代にある日、ジェダイの一人が殺害される事件が発生。その真相を追うために動きだしたジェダイ・マスターのソル(イ・ジョンジェ)は、過去に因縁のある女性メイ(アマンドラ・ステンバーグ)と再会。密かにその存在を強めていた“巨大な闇”に立ち向かうことになる。 ■監督も主演も素顔に気付かない!?「いつもの自分とは別人」 『ファントム・メナス』のダース・モールや「スター・ウォーズ:アソーカ」の主人公アソーカ・タノ、さらには各惑星に登場する様々な姿形をしたクリーチャーまで。「スター・ウォーズ」シリーズは、特殊メイクを施した役者が演じる、多様な見た目をした多様な種族によって独自の世界観が作りあげられてきた。本作でも、一度見たら忘れられないようなインパクトを放つキャラクターが物語のゆくえを左右させていく。 多数のジェダイたちが登場するなかでも一際目を引く存在なのが、イ・ジョンジェ演じるマスター・ソルのパダワン、ジェキ・ロン。師であるソルに忠誠を尽くし、若さに反して常に落ち着き払った態度を見せる一方で、行動を共にするジェダイ・ナイトに対しては強気な一面を見せる彼女は、真っ白な肌と髪色、そして頭に6本のツノが生えているという特徴的な見た目の持ち主。 このキャラクターを演じたのは、『LOGAN/ローガン』(17)でウルヴァリンと旅をする少女ローラで注目を集めたダフネ・キーン。今回、彼女の特殊メイクに費やされた時間は毎日2時間以上。常に特殊メイクが施された姿で撮影に臨んでいたため、共演者たちにも素顔を晒すことがほとんどなかったようで「メイクをしていない状態で監督のレスリー(・ヘッドランド)や主演のアマンドラの隣に座っても5分くらい気付いてもらえませんでした」とキーンは振り返る。 さらに「撮影終わりにスタッフと一緒に出かけた時も、『あなた誰!?』って聞かれて。4か月も一緒に撮影していたのに!(笑)」と驚きのエピソードを明かしつつも、「特殊メイクをした状態での芝居は、いつもの自分とは別人になった気分でした。とても緊張感があったけれど、特殊メイクをしたからこそジェキを表現できたし、間違いなく価値のあるものでした」と、精巧な特殊メイクで下支えされた役柄への自信をのぞかせた。 ■「自分が緑色であることを忘れて驚くことも…」 一方、「ダフネと私は特殊メイクという共通点があり、私たちは撮影に臨む前の長い時間、一緒に椅子に座っていました」と振り返るのは、本作で実写の「スター・ウォーズ」作品に初登場を果たしたジェダイ・マスター、ヴァーネストラ・ロウを演じたレベッカ・ヘンダーソンだ。 全身が緑色で頭頂部にタトゥーが施されたヴァーネストラを演じるため、ヘンダーソンも特殊メイクで素顔を封印。「時々自分が緑色であることを忘れて鏡を見て、驚くこともありました」と、ヘンダーソンはEmpire誌のインタビューで茶目っ気たっぷりに振り返りながら、「メイクをしたあとの緑色の肌が大好きだったので、撮影が終わってメイクを落とされるといつもとても寂しい気持ちになりました」と役柄への強い愛着を示す。 とはいえ撮影中には苦労が多かったようで、「手に緑色の塗料をつけている時は、なにかを拾うだけでも大変なことでした。うっかり衣装のローブに触れてしまうと、みんなが慌てて『ダメ!』と叫ぶんです。それでも忘れてまた同じことをやってしまい、そのたびに『ごめんなさい』と謝ってばかりでした…」と苦笑い。特殊メイクが馴染みすぎたゆえのこのエピソードからは、いかに彼女が役に没頭していたかがわかることだろう。 ほかにも本作の劇中には、ヨーナス・スオタモ演じるウーキー族のジェダイのケルナッカや、マルガリータ・レヴィエヴァ演じるマザー・コリルなど、特殊メイクで魅力や個性が高められたキャラクターが続々と登場。それぞれの活躍ぶりはもちろんのこと、その特殊メイクの精巧さに着目しながら本作を楽しんでみてはいかがだろうか。 文/久保田 和馬