フィデリティのアナリストは向こう12カ月をポジティブに展望、日本は「他を圧倒するブライト・スポット」
フィデリティ投信は、フィデリティ・インターナショナルのアナリストが個別取材等の結果得ている知見を集約するため毎年実施している「アナリスト・サーベイ 2024」を発表した。今回で14回目になる同調査報告書では、世界のあらゆる地域を対象として今後1年間の有望なマーケットを展望しているが、今年のレポートでは日本を「他を圧倒するブライト・スポット」として特筆している。
同調査は、世界中のアナリストが年間2万回を超える企業とのミーティング(平日は毎日、10分に1回の割合)を通じて培ったインサイトから、様々な地域やセクターのビジネスが今後1年、また、その先にどう変化するのかという見通しをまとめている。今回の調査は、2023年12月に実施され、137名のアナリストから回答を得た。
フィデリティ・インターナショナルでは、アナリストに約80の質問を投げかけ、その回答をまとめることで、様々な国・地域やセクターが今後どのような動きを見せるのかを展望している。そして、その回答内容について、最も説得力のある回答をフォローアップし、ニュアンスを探り、その背後にあるストーリーを理解することによって、より有益な情報として一般の投資家にフィードバックするレポートにまとめて公表している。たとえば、10年前の調査では「情報技術やヘルスケアといったナレッジ・エコノミーを代表するセクターが、エネルギーや素材のようなセクターよりもはるかに良好なパフォーマンスとなる」と見通し、また、M&A、自社株買い、配当のブームなどについても予測してきた。これらの有効性に基づいて、調査結果は「クロスアセット・インベストメント・フォーラム」など社内での議論にも活用される貴重な資料の1つに位置付けられている。
今回の調査結果の特徴は、過去2年間は「景気減速がどこまで深刻化するのか」という点が懸念されてきたものが、向こう12カ月の展望で「事業環境は拡大サイクルに入る」と予測するアナリストが61%と過半数を大きく上回ってきていることだ。そのような明るい展望の背景にあるのが、パンデミック以来初めて「企業のコストインフレが今後低下する」と予測するアナリストの割合が「上昇する」という回答を上回ったことがある。そして、急激な利上げが行われた後であるにもかかわらず、アナリストの60%は「2024年に重要な借り換えが必要な企業はない」と考えている。このような事業環境の改善を背景に、アナリストの52%は担当セクターが「現時点で拡大サイクルにある」と考え、「向こう12カ月で拡大サイクルに入る」と予想するアナリストは61%に達している。