タレント・見栄晴が公表した「下咽頭がん」とは? 症状・原因・生存率も医師が解説
下咽頭がんの検査と治療について
編集部: 下咽頭がんの検査について教えてください 郷先生: 下咽頭がんの検査は、いくつかの方法を組み合わせて行います。主に行われる検査は、経鼻内視鏡検査・生検・CT・MRI検査・触診などです。経鼻内視鏡検査では、内視鏡を用いて下咽頭の腫瘍を確認します。 がんが疑われた場合細胞を採取し、顕微鏡で細胞を詳しく調査します。この調査が生検という検査です。CT・MRIは、腫瘍の広がりや転移を確認するために行われます。リンパ節への転移がある場合、触診で首のしこりが確認されます。 また、この病気は食道がんや胃がんを併発しているケースも多いです。そのため、これらの検査に合わせて上部消化管内視鏡検査も行い、悪性腫瘍がないかを調べます。 以上の検査の結果を踏まえ、がんやステージの診断がされます。 編集部: 下咽頭がんの治療方法について教えてください。 郷先生: 治療方法は、がんのステージや患者さんの健康状態を考慮し、適切なものが選択されます。 初期の場合、経口切除を行うケースが多いです。経口切除は内視鏡を使用して長い鉗子で腫瘍を取り除きます。この方法では身体にかかる負担が少なく、長期間の入院も必要ありません。 がんが広がっている場合、放射線治療や抗がん剤治療が行われます。この2つを併用して治療が行われるケースも多いです。 ただし、これらの化学療法には副作用があります。治療後に嚥下障害などが残る可能性も高いです。ステージがかなり進んでいる状態であれば、咽頭切除手術が行われます。切除部分が小さければ治療後の影響は少ないですが、場合によっては声帯の切除が行われ、発声ができなくなります。早期に治療を行うほどリスクが少なくスムーズに行えるので、病気の早期発見・早期治療を目指しましょう。 不安なことがあれば担当医に相談して、適切な治療の方針や方法を決めていくと良いでしょう。 編集部: 下咽頭がんの予防方法はありますか? 郷先生: 下咽頭がんの原因となるのは、過度な喫煙と飲酒です。そのため、喫煙の習慣がある人は禁煙し、お酒を飲む人は適度な飲酒に止めることが効果的です。生活習慣に問題がないかを見直し、改善できる部分は直しましょう。 また、口腔ケアも予防に効果があります。日ごろから口内の清潔に気を配り、歯磨きやうがいなどを実施すると良いでしょう。加えて、がんを発症してしまった場合は、できる限り早く対処をすることが大切です。 しかし、下咽頭がんは初期症状がほとんどなく、早期の発見が難しいです。早期発見をするためには、定期的に健康診断を受けると良いでしょう。自覚症状があまりなくても、検診で病気が発見される可能性があります。