静岡ガス、高級魚養殖へ 静岡支社に設備 ノウハウ蓄積
静岡ガスは、沖縄県沖など温暖な海域に生息する高級魚ヤイトハタと海ぶどうの陸上養殖を試験的に開始する。静岡市駿河区の同社静岡支社に小型の養殖設備を導入し、1年目は約100匹の稚魚を飼育する計画。ノウハウを蓄積しながら養殖する魚の量と種類を増やし、将来の世界的な人口増加に対応したタンパク質の提供など社会課題の解決につなげる。 アーク(東京)が提供する陸上養殖システムを導入し、ろ過装置で水を循環させながらヤイトハタの稚魚を1年で1~1・5キロの大きさに成長させる。一緒に養殖する海ぶどうは魚のふんに含まれる窒素を養分とし、酸素も排出して水質を浄化する。水の入れ替えが不要になり、寄生虫や病原菌のリスクはほとんどないという。 海ぶどうも含めて養殖の手間は少なく、社員が餌やりやセンサーチェックなど1日30分程度の作業を行う。同社によると、導入施設1基につき年間で最大350~400匹の養殖が可能。軌道に乗れば自社の発電所近くにも設置し、廃熱を利用した効率的な飼育も見据える。 ヤイトハタはクエのような上質な白身魚として人気が高く、刺し身やすしネタなどの生食が主流。鍋や焼き物、中華料理の食材としても利用される一方、静岡県内での認知度は低く、地元の新たな需要創出も期待される。担当者は「いろんな魚種の養殖に挑戦したい。食育推進や食品ロス解消などの課題解決にもつなげられたら」と語る。
静岡新聞社