みんな感じている「じつはわかりづらい」生成AIの使い道…ビッグテックが爆走中の「使いやすさ向上レース」と沈黙するアップルの「次の手」
情報漏洩への対策として
Recallのしくみは意外と簡単だ。 Recallが有効になったPCでは、画面の内容が自動的に★記録される。その内容を生成AIが解析し、検索用のインデックスを作る。そのインデックスを手掛かりに検索をするので、ふんわりした質問でもちゃんと情報が見つかる、という形だ。 ただし、その性質上、情報の秘匿性は重要だ。PC上では機密性の高い作業もおこなわれるし、プライベートな情報も扱う。クラウドに情報を処理すると漏洩も危惧される。 そこでこの機能は、Copilot+ PCのオンデバイスAIを使い、自分のPCの中だけで処理されるようになっているのだ。 利用者がいろいろなことに生成AIを使うようになると、情報の秘匿性・プライバシーの確保がますます重要になってくる。そうすると、クラウドを使わずにデバイス上で処理するオンデバイスAIの価値が高まっていくのは間違いない。
アップルとGoogleは気づいていた
そうしたことに、一足先に気づいているメーカーもある。 アップルとGoogleだ。両社は以前から、自社製スマホのプロセッサーを「NPU重視」にしていた。 Googleが同社製スマートフォンに使う「Tensor G」というプロセッサーは、CPUやGPUの性能よりもNPU性能を重視してきた。率直にいって、他社が採用するハイエンドスマホ用プロセッサーに比べて性能は劣るが、AI処理については比較的性能が高かった。 前出のように、GoogleはAndroidへとGeminiの統合を進める。
通話内容から「特殊詐欺」を検出
特に、自社ブランドスマホである「Pixel」については、今年後半に面白い機能が搭載される予定だ。 その機能とは、「電話の通話内容から、リアルタイムに特殊詐欺の危険性を通知する」ものである。Pixel内のオンデバイスAIが通話を裏で聞いていて、通話内容に詐欺で多用される典型的な内容が含まれている場合に、そのことを通知する。 「通話を聞いている」ということは当然、守秘が重要になる。クラウドでの処理は向かず、ユーザーの機器内で処理が完結するオンデバイスAIが必須になる……というわけだ。