大谷翔平、初安打は13年開幕戦の右翼線二塁打…OB張本勲さんから「大あっぱれ」
ドジャース・大谷翔平投手(29)が12日(日本時間13日)、本拠地・パドレス戦に「2番・指名打者」でスタメン出場。初回に今季4号となるソロを放ち、松井秀喜氏の持つ日本人歴代最多メジャー通算175本塁打に並んだ。5回先頭の第3打席では左翼線への二塁打を放って日米通算1000安打も達成。さらに7回1死の第4打席で松井裕樹投手から同通算1001安打目となる右翼線への二塁打をマークした。 【動画】大谷翔平、メジャー通算175号!ゴジラに並ぶ日本人最多本塁打!! 大谷の初安打は日本ハムで新人だった2013年3月29日、「8番・右翼」で先発した西武との開幕戦で生まれた。長嶋茂雄さんから「大谷君すごいね」と称賛され、球団OBの張本勲さんから「大あっぱれ」が出た。当時の原稿を再録する。 * * * * * 日本ハム・大谷=花巻東=が、西武との開幕戦に「8番・右翼」で先発。5回、先頭でプロ初安打となる右翼線二塁打を放ち、6回には右前適時打。球団の高卒新人では東映時代の59年・張本勲以来、54年ぶり3人目となる開幕スタメンでマルチ安打と打点をマークする鮮烈なデビューを飾った。 余韻に浸ることなく全力で走った。右翼線へ転がる打球を見て、大谷は猛然と一塁ベースをけった。「抜けた瞬間は初ヒットだというより、一つでも先の塁へという思いの方が強かった」。勢い余って二塁をオーバーランすると右翼からの送球が来た。左足を伸ばして間一髪で帰塁。初安打の喜びよりも、チームの勝利が先行した。 1打席で頭を切り替える冷静さがあった。同点の5回、初球を空振りした後の2球目。岸の内角高め、ボール気味の直球を強引にはじき返した。「最初が三振でちょっと落ち込んだけど、しっかり打てた。先頭で出れて良かった」。プロ初打席は見逃し三振したが、次の打席では積極性を取り戻し、プロ初ヒットとなる右翼線への二塁打。開幕で先発出場した高卒新人では、球団史上初めての安打だった。 チャンスでも力を発揮した。1点リードの6回2死二塁。今度は岸のチェンジアップを右前に運んだ。「すごいチェンジアップを打てて良かった。岸さんは内角の直球がすごくキレていたし、勝ちに貢献できたのでうれしい」。初タイムリーでマルチ安打とし、胸を張った。 試合前の練習中、首脳陣からスタメン出場を告げられた。28日はイースタン・リーグの西武戦(鎌ケ谷)に登板したために前日練習に参加していなかった。この日は右翼フェンスのクッションボールを確認。7回には右翼ポール際のファウルゾーンで、片岡の飛球を好捕した。 家族への思いが大谷を支えている。花巻東高の野球日誌には〈1〉プロ野球に入る〈2〉メジャーに行くに加え、〈3〉両親に家を建ててあげる―との目標が記されてある。最初の夢をかなえた報告に、元日には母・加代子さんの実家へ3年ぶりに帰省した。祖父から、墨で書かれた「日本ハム入団おめでとう」のメッセージと、紙で手作りした花で祝福された。初ヒットのボールは「両親に渡したいと思います」と言い切った。 初ヒットのボールを握りしめ「ファンの皆さんの声援で打たせてもらった」とはにかむように笑った。開幕2戦目も先発出場予定。高校の先輩、菊池と対戦する。「(チームの勝利は)すごくうれしい。緊張は全然なかったし、楽しかった。これで勢いづけばいい」。二刀流ルーキーが球史に刻んだのは、豪快なひと太刀だった。 巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(報知新聞社客員)「大谷君すごいね。試合は見ることはできなかったけど、オープン戦などで二刀流を拝見してきました。プロ野球は来年で80年という節目を迎えるけど、投打両面にこれだけ高い次元で期待を抱かせた選手は初めてだね。少なくとも僕は見たことない。とても楽しみにしています」 元東映・張本勲さん(高卒1年目の1959年4月10日の開幕戦、阪急戦に『6番・左翼』で先発出場も無安打)「大あっぱれだよ。このあつかましいオレでさえ3球三振のスタートだった。『H』のマークをつけられただけで偉業だよ」
報知新聞社