なぜバイエルンは伊藤洋輝を獲得したのか?クラブの思惑、手本とすべきモデルとは…
人員整理の影響も
ドイツメディアの間では、バイエルンが人員整理の影響を考慮し、伊藤を獲得したという見方も強い。 12年ぶりの無冠で2023-24シーズンを終えたバイエルンにとって、新シーズンは巻き返しの一年となる。コンパニ監督の就任もそのひとつで、守備陣を見渡せば放出の噂がない選手を探す方が難しい。チーム屈指のタックラーで、サポーターからの人気も高いマタイス・デ・リフトでさえ、換金の可能性が伝えられている。 すでにデイヴィスの今夏、あるいは来夏の退団は濃厚で、その点でも伊藤の加入は有用なもの。加えて、伊藤の移籍金はボーナス含めた最大でも2800万ユーロ(約47億2000万円)と伝えられており、バイエルンにとっては比較的“お得”な買い物となった。
手本とすべきは…
バイエルンは伊藤を獲得してもなお、レヴァークーゼンのDFヨナタン・ターの加入の可能性は残しており、それは今後DFを放出する証左でもある。そうなった際に伊藤が守備陣の中心に据えられるかは定かではないが、手本とすべきロールモデルはすでにある。 それが2019年から2023年までプレーしたバンジャマン・パヴァール(インテル)。伊藤同様、シュトゥットガルトからの加入で、移籍金もほぼ同等(パヴァールは推定3500万ユーロ)、CBとSBとしてプレー可能という共通項もある。 パヴァールは当時2部降格となったシュトゥットガルトからの加入となったこともあり、周囲からの目は懐疑的だった。しかし、パヴァールはどのレベルでも安定感のあるプレーを見せ、ミスを犯すことなく右サイドバックとしてレギュラーに定着。1年目からクラブの3冠に大きく貢献した。 こうした前例を見れば、伊藤の移籍は第三者から見ても十分に理解できる論理的な決断だった。バイエルンが失った後方の安定感、そしてタイトルをチームに取り戻すことができれば、シーズン終了後には伊藤の移籍は優れた補強として記憶されることになるだろう。