ヤマト運輸委託見直し、拡大路線の安値〝あだ〟か 同業から「非常に迷惑」と恨み節も
ヤマト運輸と日本郵便が昨年結んだばかりの配達協業の不調が18日、明らかになった。ヤマト運輸はドライバーの賃上げや運賃適正化の機運が高まる中、大口の法人顧客を安値で拡大する路線をとったものの、収益は伸び悩む。日本郵便への配達委託料は重荷になっていたとみられる。 【ヤマト運輸の調査】「置き配」、4人に1人は“在宅時”に使っていた ヤマト運輸は新規の大口の法人顧客の獲得を進めており、2024年9月中間連結決算で宅配便3種類の取り扱い個数は、前年同期比3・5%増の9・4億個に拡大した。 ただ、その際に行われた安値攻勢が影響し、単価は708円と同12円減少。ネット通販が物価上昇を受けて伸び悩む中で人件費はかさみ、最終損益は前年同期53億円の黒字から、111億円の赤字に転落。中間期としては5年ぶりの赤字となった。 ヤマト運輸の戦略の余波は競合他社に及んだといい、業界大手幹部は「賃金、車の代金、燃料費があがる中、運賃だけ据え置くのは無理。(安値攻勢は)非常に迷惑だった。運賃はもっと適正なところに持っていきたかった」と苦言を呈した。 今回不調が露呈したヤマト運輸と日本郵便の合意は、「2024年問題」の最中で大手による解決策として注目されていた。集荷をヤマト運輸が行い、2輪車を多く持つ日本郵便が機動力を生かして配達。ヤマト運輸は主力の段ボールサイズの宅配便に注力できる分業となるはずだった。 ヤマト運輸は11月22日、薄型荷物について、来年2月から全国で翌日配送を受け付けると発表。しかし日本郵便は12月18日、合意はなくヤマト側の独断だと明らかにした。日本郵政の増田寛也社長は「どのような意図で出したのか、承知していない」と述べ、両社のきしみが鮮明になっている。(織田淳嗣)