渡邊圭祐の変わらないもの「ポリシーはない。ただ、何事も楽しく生きていたい」
恒司くんは、やんちゃでわんぱくないたずらっ子でした
見せ場は、水上恒司演じる犬飼現八との決闘のシーン。絢爛豪華な芳流閣の瓦屋根の上で繰り広げる死闘は、『南総里見八犬伝』を知る者なら誰もが湧き立つ本作きっての名場面だ。 「あそこは結構アクロバティックな動きも入っていて、たぶんいちばん練習したんじゃないかな。信乃にとっても、一対一で戦うのはあそこだけなんですよ。だからすごく気合いが入っていたし、現八との一騎打ちに辿り着くまでの間に建物の中を上っていくんですけど、そこでのアクションも含めすごく記憶に残っています」 芳流閣を再現したそのシーンでは、最新のVFXがふんだんに用いられている。目の前に本物の芳流閣が現れたような精巧な映像技術は、日本のファンタジー映画の進化の証でもある。 「実際には、机を斜めにしたようなものの上で撮影してたんです。それが、本編では見事な瓦屋根になっていて、やっていた僕ですら驚きました(笑)。演じている側は意外とわからないんです。だから、初号試写を観ながら、なるほど、あそこはこうなっていたんだっていろいろ思い返していました」 何もない場所に、まるで実物があるように演じなければいけない。VFXが進化するほど、問われるのは俳優の力だ。 「そこはやっぱり想像力を働かせてやらなくちゃいけないですよね。でも、スタッフのみなさんがいろいろサポートしてくださるので。今回も、スタッフさんが本番ではこういう感じになりますという絵を見せてくれたり。アクションもVコン(アクション部が事前にアクションを行い、それを映像におさめたもの)を用意してくださったので、それを観ながら、自分の中でイメージを膨らませていきました」 相対する水上とは『MIU404』以来の共演となるが、本格的に一緒に芝居をするのは今回が初めてとなる。 「恒司くんは、こんないたずらっ子っているんだというくらい、やんちゃでわんぱくな男の子でした(笑)。八犬士が集まると、いちばんよく喋っているのが恒司くん。現場の盛り上げ役を担ってくれていました」 大人といえど男が8人も集まれば、やはり男子校のノリが生まれるようで、現場ではよくキャストをイジって遊んでいたそう。 「いちばんイジられていたのが、(犬田小文吾役の)佳久(創)さん。小文吾が役の設定上、歯に汚しを入れていたんですが、それを見て『歯が汚い!』とイジるのが定番のネタでした。年上なのに損な役周りを引き受けてくださって、佳久さんにはお礼が言いたいです(笑)」