「スプーン=15度」が8割強 それでもおススメできない理由は?/女子プロクラブ考VOL.7
スプーンの次の番手は? UTが台頭してきた
スプーンの次はクリークがマストとイメージするかもしれないが、意外にも半数近くの女子プロが「5W」を入れていなかった。さらに40人中14人がフェアウェイウッドを1本体制。女子プロと言えばフェアウェイウッドを沢山使ってコースを攻略するという印象を持っていたが、「ユーティリティ>フェアウェイウッド」の選手が増えているようだ。
彼女たちが5Wのかわりに選ぶのは、ロフト角の小さいユーティリティ。ロフト角20度を切る18、19度のUTを入れているのは11名。7Wに比べると圧倒的に多い。桑木志帆や神谷そらなどの若手だけでなく、キャロウェイ「X-HOT フェアウェイウッド」の3W、5Wを10年近く使い続けてきた上田桃子も、5Wをキャロウェイ「APEX UW」という19度のユーティリティに変更した。 フェアウェイウッドに比べてユーティリティは、ヘッドサイズも小さく、慣性モーメントや重心深度も小さい上に、クラブ長も短いからボールは上がりにくい。が、短い分ミートしやすく、傾斜地からも打ちやすい上、ヘッドサイズが小さい分ラフなどでも使い勝手がいい。ユーティリティの歴史は浅いが、彼女たちのほとんどが20代でジュニアの頃からUTを使い込んできたと推測される。最近はUTのヘッドも大型化して“これって FW?UT?どっちなの?”と、境目がわからなくなりつつもある。
7Wか9Wを入れているのは40人中11人のみ。7W、9Wに代表されるショートウッドは、1990年代初頭にキャロウェイのビッグバーサ「ヘブンウッド」7Wが注目を浴び、“DIVINE NINE(ディバインナイン)”と名付けられた9Wも大ヒットするなどして一気に市民権を得た歴史がある。それが現在は7Wをラインアップに入れないモデルも多くなり、9Wは絶滅危惧種となりかけている。 以前は「11W」 まで入れていた柏原明日架も、現在は3W、5W、7W、9Wとなり、「11W」を使う選手は見かけなくなった。ショートウッドの先駆者キャロウェイは、現在でも最新作パラダイムフェアウェイウッドに「9W」、「11W」をラインアップしているのは流石(日本には導入されていない)。 ただし、クラブの特性としては、ユーティリティよりもフェアウェイウッドのがミスに強く、ボールが上がりやすいのは前述した通り。ショートウッドも大型化して構造的有利は変わりがない。我々アマチュアは、女子プロの真似をして単にユーティリティに移行するのではなく、ショートウッドも選択肢として考えても良いのではないか。