福島県議、市町村議の長期欠席・病欠 報酬支給対応分かれる 3市町減額、残りは満額
病気療養などで長期欠席している議員への報酬支払いで、福島県内の市町村で対応が分かれている。いわき市議会では、1年以上欠席している80代の男性議員に、欠席期間の議員報酬とボーナスに当たる期末手当計約1300万円が満額支給されていることが分かった。長期欠席による減額などを規定する条例がないためだ。県議会と全59市町村議会のうち、報酬の減額を定めた条例があるのは会津若松、伊達、三春の3市町のみ。専門家は「出席できない議員に配慮した環境を整えた上で条例を設けるべきだ」と指摘する。 いわき市議会事務局によると、男性議員は昨年2月の定例会から全ての議会を欠席。20日に閉会した6月定例会でも議場の席は空いたままだった。長男によると、男性議員は2022(令和4)年末から現在まで心臓疾患で入院し、意思疎通が難しい状態。長男が会期ごとに欠席する旨を事務局に届け出ている。 地方議員の報酬額や支給方法は地方自治法に基づき条例で定められる。長期欠席による減額や支給停止には規定が必要だが、市の条例にはない。辞退や返還も公職選挙法が禁止する寄付行為に当たるため、「現状では長期欠席でも満額を支払う仕組み」(市議会事務局)という。
男性議員には今年5月末時点で欠席した1年4カ月間の報酬と手当計1261万2600円が支給された。あるベテラン議員は「長期間議会活動ができないのに満額を支払い続けるのは市民の理解を得られない」と指摘。欠席中の男性議員が所属する会派会長の男性議員は「病気というやむを得ない事情だ」と理解を示した上で、「(報酬を巡る)議論は今後しなければならないと思っている」と述べた。 同様のケースは他の自治体でも。白河市の男性議員は健康状態を理由に昨年12月の市議会定例会の会期途中から約半年間欠席したが、議員報酬と期末手当を満額受けた。 ◇ ◇ 会津若松市では2016(平成28)年に条例を制定した。年間通算で公式会議の欠席が90日を超えると2割、180日は3割、1年超は5割を減額する。当時在籍した市議が詐欺容疑で逮捕されたのを受けて議論が進んだ。条例には議員が刑事事件で逮捕・勾留された際は支給を止め、不起訴や無罪確定で停止期間分の報酬を支給する規定もある。