落果、倒木、塩害、ハウス損壊…のろのろ台風10号の爪痕に収穫期前の農家がっくり 被害の全容判明これから 鹿児島県内
台風10号は29日、鹿児島県を暴風域に巻き込みながら北上し、県内各地で強風による落果や塩害、ハウスの損壊といった農業被害があった。事前の対策もあり想定より被害が少なかったという声もあるものの、自治体などによる調査はこれからで全容は見通せない。 【写真】強風で倒れた白ゴマ=29日、喜界町中里(町役場提供)
約250戸が計150ヘクタールで栽培し、生産量日本一を誇る喜界町の白ゴマは収穫期直前だったが強風で倒れ葉が落ち、塩害で黒くなった。収量は当初見込みから7割減の13.5トン程度に落ち込みそうで、被害も1億円を超える見通し。 昨年も8月に台風被害を受け15トンほどにとどまった。町農業振興課は「白ゴマは夏場の現金収入になる。サトウキビやカボチャと複合経営ができるので栽培を奨励していた」とショックを隠さない。 台風10号は強い勢力を維持したまま県本土に上陸した。いちき串木野市のかんきつ農家、松崎智也さん(32)は露地栽培の温州ミカンが被害に遭った。「確認に行ったら木が何本も折れていた。これから収穫を迎えるところだったので痛手」と声を落とす。 霧島市と姶良市でナシやブドウを栽培する「はぎいわ農園」では、ハウスの約6割でビニールが破けた。ただ事前に果実に袋をかぶせ、防風ネットを張るなどしたためブドウの落果はほぼなく、ナシの被害も全体の1、2割程度に抑えられた。剥岩修一郎さん(45)は「想定以上の被害はなく、最小限で済んだ。まだ出荷が続くので気持ちを切り替えたい」。
ハウスでブドウを育てているさつま町の今村耕一さん(75)もビニールを巻き上げるなどの対策を講じていた。「今のところ大きな被害はなさそう」と胸をなで下ろした。 多くの自治体は30日以降に詳細な調査を予定している。
南日本新聞 | 鹿児島