トヨタ自動車、次世代EVの市場投入延期へ,不透明感に柔軟対応[新聞ウォッチ]
温室効果ガス排出量の削減目標について、政府が10年後の2035年度までに2013年度比で60%削減、40年度には73%減とする案を軸に調整を進めるという。経産省、環境省が目標案を示したもので、きょうの毎日や産経などが1面で「温室ガス35年度60%減、政府案COP水準下回る」などと報じている。
温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき、各国は35年目標を25年2月までに国連へ提出する必要があるため、政府も年明けの2025年2月までに出す方針だが、COP28で決定した水準を13年度比で換算すると、35年までに66%減になるという。
このため「経産省、環境省の案はこれを下回っており、国内外から批判が出ることが予想される」(毎日)、「削減ペースを速めるべきだとの指摘もあり、協議は曲折の可能性もある」(産経)とも伝えている。
こうした中で、トヨタ自動車が、2026年に市場投入するとしていた次世代電気自動車(EV)について、「生産開始時期を27年半ばに延期する方向で調整している」などと、きょうの東京が1面と総合面に「市場変動に柔軟対応、新型PHV開発にも力」とのタイトルで取り上げている。
記事によると、欧米などではEV化が減速しており、開発期間にゆとりを持たせ商品力を強化する狙いがあるという。また、販売計画についても想定を下回る可能性があるとも報じており、市場の急激な変動に対応する構えだとしている。
トヨタでは、2025年から予定していた北米工場でのEV生産が26年に延期される見通しをすでに明らかにしていたが、次世代EVの市場投入も当初の目標から大きく遅れる計画となる。市場の変化に柔軟に対応するという経営判断は、成長戦略を維持するためには重要なことだが、目先の稼ぎばかりを優先させて計画目標を見直すなどの朝令暮改を繰り返せば、中長期的な視点でEV開発などに取り組む技術陣の士気の低下にもつながりかねないという危うさもある。