ゴルフ場ドタキャン対策「キャンセル料」導入の波 “お天気商売”で「触らぬ神に祟りなし」だったが
ところが、同じゴルフ場でデータを取ると、いっぱいのはずの土・日曜日の入場者の伸びは1.4%(2022年度)ほどしかなかった。それはキャンセルの影響だった。 「ゴールデンウィークに調べたら、36ホールのコースで98枠が予約されていたのに、終わってみれば70組だったということもありました」(門伝氏)。23年は全予約の8%、約72万人の直前キャンセルが発生したという。 「とりあえず予約しておこうということではないかと推定できます」(門伝氏)。1人1万円とすれば72億円がキャンセルで失われていることになる。
何より、キャンセルはゴルフ場側に負担がかかる。「売り上げを失うのもそうなのですが、予約に応じた準備をしているので人件費の増加、食材の仕入れのコスト増やフードロスなども起きる」と、門伝氏。キャンセルが増えれば入るものが入らず、出ていくだけになる。結果、プレー費の値上げなどにもつながりかねない。 そのようなとき、ロシアのウクライナ侵攻で始まった世界的な物価高騰もあり、PGM傘下のゴルフ場担当者から「キャンセル料を取れないか」という声が上がったという。
そこで、そのゴルフ場独自で理事会決議をし、キャンセル料を徴収するようにしたところ、キャンセルが減少。実際に効果が確認できたことから、PGMの運営するコース全体でキャンセルポリシーを作り、実行していくことにした。 「何十年もキャンセル料を取っていなかったので、スキームをまとめるのに時間がかかった」という。地域性などもあって、キャンセルポリシーは4パターン作ってゴルフ場側で選択した。 ちなみに、地方の中堅ゴルフ場では、2組以下の場合、プレー日当日を含む7日前から土日祝日は1組当たり8000円、3組以上はプレー日当日を含む7日前から平日1組当たり4000円、14日前から土日祝日1組当たり8000円などとなっている。無連絡の場合は予約時料金の100%がキャンセル料となる。