映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』主人公のモデルとなった写真家リー・ミラーとは? 『ヴォーグ』モデルから戦場カメラマンへと転身したその歩みをたどる
十分ではない評価
『LIFE』で活躍したマーガレット・バーク=ホワイト、フォトジャーナリストとして活躍したドロシア・ラングと並び、20世紀を代表する女性の写真家のひとりに数えられるリー・ミラー。しかしその評価は、必ずしもずっと高かったわけではない。 1950年代に『ヴォーグ』に幻滅して決別してからはこれを超える媒体と出会えず、活動が下火になっていったこと。本人が自身の功績のアピールにあまり熱心でなかったこと。そしてその美しさと相まって、彼女のモデル時代からの交流関係や行動、恋愛遍歴が“奔放”とみなされ、中年期はアルコール中毒や鬱に悩んだことも、大きな要因だと考えられている。こうしたまなざしや言説にはミソジニーも大きく含まれているはずだ。 写真家、アーティストとして残したその作品は、今後さらなる研究、評価が進んでいくだろう。 【参考】 『リー・ミラー写真集 いのちのポートレイト』岩波書店、2003
福島夏子(編集部)