本線での体験運転を企画する松江しんじ湖温泉駅構内（30日）

　映画「RAILWAYS」の舞台となった一畑電車（島根県出雲市）は30日、電車が運行する本線を使った体験運転を8月末から始めると明らかにした。本線を運転する事例は全国で初めてとし、国土交通省の了解を得たという。地方鉄道で厳しい経営状況が続く中、「攻めの営業」の一つと位置付ける。 【地図】松江しんじ湖温泉駅 　松江しんじ湖温泉駅（松江市）構内で、場内信号機内側の約200メートルを往復する体験を想定。本線の信号の通過▽無線の使用▽最終電車到着後の夜の運行―など免許を持つ運転士に限られる運行を条件付きで盛り込み、鉄道ファンにとってプレミアム感を出す。 　雪の降る冬場を除く月1回で、6人程度の利用を計画。夜間のため18歳以上に限る見込みで、料金は検討中。詳細は近く公表するとしている。 　同社は、本線以外の車庫内での体験運転を他社に先駆けて2001年に始めた。その後、他社にも車庫内での体験運転が広がったという。地方の鉄道会社が苦境にある中、鉄道事業法の解釈を工夫して、再び斬新な体験を提供できないか国交省と協議して了解を得たとする。 　この日松江市内であった一畑電車沿線地域対策協議会で、県や松江、出雲市に報告した。石飛貴之取締役常務執行役員は長期的な顧客の維持を課題と捉え、「新たな取り組みで顧客の注目を集めたい」としている。