虐待、いじめ、依存症…新宿・大久保公園で客待ち女性再び増加 暴力など高まる危険
危険な目に遭いながらも大久保公園に立つ女性もいる。東京で一人暮らしをする女性(20)は2年ほど前から公園を訪れるようになり、一度はやめたものの、再び通い始めた。客から刃物を見せられたことが何度もあるという。それでも「言うことを聞いといたほうがよい」と、対処法を事もなげに語る。
日中は広告制作関係の会社で働く。休職から復帰したばかりで、生活は苦しい。過去に派遣型風俗店で働いていたこともあるが「客がくるかわからず、待たなきゃいけない。こっちの方が楽で効率がいい」と明かす。
「危ないよね。何されるかわかんないけど、稼げるだけ稼げたら、もういいかなって。他人から自分の人生をとやかくいわれたくない」。笑顔で話しながらも、女性の目には涙が浮かんでいた。
■「背景を想像して支援を」
警視庁は大久保公園周辺での売春目的の客待ち行為の取り締まりを強化。男性とホテルを利用する際などを捉えた現行犯逮捕に加え、過去の行為も摘発対象とし、大久保公園周辺で売春防止法違反(客待ち)容疑で令和5年に逮捕した女性は4年の約3倍にあたる140人に上った。一方、女性の希望に応じ、福祉事務所などと連携した支援も並行しておこなっている。
大久保公園周辺に立つ女性の支援を行うNPO法人「レスキュー・ハブ」代表の坂本新(あらた)さん(52)は「新型コロナウイルス禍が収束して10代、20代の素人の女性が増えた」と現状を話す。買春側にも罰則規定を設ける売春防止法改正の必要性を感じる一方、「罰則を強めて客がいなくなった場合、女性がよりアンダーグラウンドな方向へ行ってしまう危険性もある」と指摘する。
客待ちをする女性には親からの虐待や学校でのいじめ、依存症、精神疾患など複雑な背景を持つケースは少なくないという。坂本さんは「売春行為をせざるを得ない背景を想像した支援が大切」とし、保護のためのシェルターや職業あっせんの促進を訴えている。(前島沙紀)