選抜高校野球 専大松戸に春の便り 笑顔はじけた、初切符 夢舞台、全力誓う(その1) /千葉
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の出場校を決める選考委員会が29日開かれ、専大松戸(松戸市)の出場が決まった。一足早い春の知らせに、選手や学校関係者は喜びに包まれていた。専大松戸は昨秋の関東大会で4強。2015年夏の甲子園に初出場し、センバツは初めて。2月23日に組み合わせ抽選会があり、3月19日に開幕する。【長沼辰哉、柴田智弘】 午後3時すぎ、徳山斉校長と報道陣は校内の多目的ホールに集まり、選考委員会からの連絡を待った。徳山校長は電話を前に「緊張しています」と話すと、ホールに駆け付けたチアリーディング部の女子生徒4人から「校長先生頑張ってください」と声を掛けられ、表情を緩めた。「プルルルル」。同45分ごろ、卓上の電話が鳴った。徳山校長は初出場決定の知らせに「謹んでお受けいたします。ありがとうございます」と応え、受話器を置いた。集まった報道陣からは拍手が送られた。 学校から離れた場所にある野球部のグラウンドでは部員たちが吉報を待っていた。出場決定の電話から約1時間後、徳山校長が到着。整列した部員に初出場決定を伝え、「おめでとう」と祝った。部員らはマスクの下から「おっし」と歓喜の声を上げ、拍手した。徳山校長が「もっと盛り上がって」と言うと、部員らの笑顔がはじけた。 その後、グラウンドで行われた記者会見で石井詠己主将(2年)は「センバツは自分たちの目標だったのでうれしい」と喜んだ。新型コロナウイルスの影響で昨夏の甲子園が中止となり、目標を失った3年生部員の姿を間近で見ていた。新チームは今できることを一生懸命やろうと「練習への意識が強くなり成長できた」と振り返った。チームの強みを「何十本もホームランを打つような選手はいなくても、組織力と決定力がある」と胸を張った。甲子園での目標は「一つでも多く勝利すること」と意気込み、「春に向けてレベルアップしたい」と高みを目指した。 持丸修一監督は「センバツ出場はご褒美です」と笑みを見せ、前日に部員全員から「専大松戸で野球ができて良かった」と聞かされたことを明かし、目を細めた。チームについて「本当に普通の高校生のチーム」と謙遜するが、関東大会で気持ちを一つに強豪校に向かっていった姿を「よく頑張った」とたたえた。「甲子園で勝って、校歌を歌い、校旗をあげたい」と甲子園初勝利に向け、力強く語った。 ◇「松戸盛り上げたい」 選手らが意気込み語る センバツ初出場決定の知らせを聞いた専大松戸の選手たちは力強く拳を握りしめ、改めて心を一つにして甲子園で活躍を誓っていた。 昨秋の公式戦では8試合に登板したエースの深沢鳳介投手(2年)は「大舞台のプレッシャーに負けず最高の投球で貢献したい。チームの勝利が第一だが、自分の目標は完封。簡単には勝てない相手だが大阪桐蔭や仙台育英とも対戦してみたい」と気合を入れた。 昨秋はチームトップの打率でけん引した吉岡道泰選手(2年)は「甲子園でも4番として、一本でも多くの長打で勝利につなげたい。欲を言えばホームラン。松戸生まれで専大松戸で甲子園出場を目標にしてきた。松戸を盛り上げたい」と胸を張った。 1年生ながらスタメンでマスクをかぶる加藤大悟捕手は「甲子園でプレーすることはまだイメージできないけれど、焦らず普段通りにやりたい」と、はやる気持ちを落ち着かせていた。 県大会第3代表決定戦の千葉英和との試合で適時三塁打を放つなどした山口颯大選手(2年)は「目標だったセンバツ。憧れの場所でも持ち味を発揮して勝利に貢献したい」と意気込んだ。 県大会1回戦の市千葉との試合で決勝点となる適時打を放つなどした大森駿太朗選手(1年)は「甲子園は小学生の時からの目標。夢がかなってうれしい気持ちでいっぱい。毎試合複数安打を打っていきたい」と笑顔がはじけた。