【国道49号防災対策】バイパス整備着実に(5月25日)
国土交通省は今年度、いわき市好間三和地区の国道49号のバイパス整備に乗り出した。大雨時に通行止めとされやすく、昨年9月に市内に線状降水帯が発生した際は、磐越自動車道いわき三和インターチェンジ(IC)以東とともに不通となった。市民生活への影響は大きく、幹線道路の物流や安全な通行を維持するため、安定的な予算確保に努めてほしい。 区間は山あいの延長4・5キロで、連続雨量が200ミリを超えると、災害発生に備えて通行止めになる事前通行規制区間に指定されている。1日当たりの交通量は約1万4400台に達し、東北の指定区間の中で最も多い。現規制値に移行した2006(平成18)年以降、大雨による通行止めは6回に及び、このうち5回は磐越道いわき三和IC―いわきジャンクション間も不通になった。 国道49号は、いわき市など浜通りと中通り、会津地方、新潟県をつなぐ磐越道と並び、災害時の避難や物資輸送の役割を果たす。災害に強い道路整備が求められていた。
バイパスは延長3・9キロで、災害発生の懸念が高い場所を回避して設けられる。国は、トンネル2基、橋3基を含めた事業費を約200億円と見込み、今年度は測量業務を実施する計画だが、完了時期は示していない。災害はいつ発生するか分からず、設計や用地取得、建設工事にもスピード感を持って取り組んでもらいたい。 国は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が発生して以降、東北中央自動車道相馬福島道路などを「復興支援道路」に位置付け、集中的に予算を投じて整備を進めた経緯がある。いわき市は震災の大津波や2019年の台風19号、昨年の台風13号で甚大な被害に見舞われている。市は復興道半ばの現状や物流寸断による都市機能への影響とともに、原発事故の避難者が双葉郡などに戻る経路にもなると訴え、復興支援道路に準じた対応を働きかけるべきだ。 現計画の東側約2・2キロで実施されている別のバイパス工事は、事業開始から13年目を迎えても用地取得が終わらず、完成時期は見通せていない。国は、幹線道路の機能を守る重要性を市民に訴え、早期整備の機運を高める必要がある。(円谷真路)